「アーカイブ(公文書管理)は、私の救国シンクタンクの研究テーマであり、世の中に普及させていきたい政策」だと語る倉山満氏のもとに、熱のこもった投稿論文が集まった。「救国シンクタンク」の記念すべき第一回懸賞論文の授賞式の模様を、ニュースクランチ編集部が特別リポート。
豪華審査員による初の懸賞論文企画
『救国のアーカイブ――公文書管理が日本を救う』(ワニブックス、2021年)の著者である倉山満氏(憲政史家)が所長・理事長を務める一般社団法人「救国シンクタンク」において、令和3年9月7日~令和4年1月31日の期間に初の懸賞論文の募集が行われました。
課題は、倉山満氏の著作『救国のアーカイブ』の内容を踏まえ、「なぜ文書管理が必要なのか」について論じるというもので、応募資格はなし。審査を務めたのは、所長の倉山満氏のほか、同シンクタンク研究員の江崎道朗氏(評論家)、渡瀬裕哉氏(国際情勢アナリスト)、中川コージ氏(戦略科学者)といった、現在の日本の言論界をけん引する豪華な顔ぶれです。
そして、厳正なる審査の結果、大賞は岡澤亜希さんの『なぜ文書管理が必要なのか~東京オリンピック・パラリンピック競技大会から学ぶ日本における文書管理の課題』、奨励賞は福永文子さんの『民主主義へ繋がる民意の爪痕~アーカイブの発展は納税者の権利意識の向上と共に』が受賞となりました。
【大賞】岡澤亜希
『なぜ文書管理が必要なのか~東京オリンピック・パラリンピック競技大会から学ぶ日本における文書管理の課題』
【奨励賞】福永文子
『民主主義へ繋がる民意の爪痕~アーカイブの発展は納税者の権利意識の向上と共に』
倉山満氏の「アーカイブ」を普及させたい思い
授賞式は研究員の中川コージ氏の司会のもと、理事長・所長の倉山満氏の開会のあいさつに始まり、表彰状の授与、審査講評、受賞者の一言という流れで進行していきました。
「アーカイブ(公文書管理)は、私の救国シンクタンクの研究テーマであり、世の中に普及させていきたい政策」だと語る倉山満氏。今回の懸賞論文企画では、熱のこもった応募作品が投稿されてきたものの、最初に目を通した段階では「正直、受賞作なしかな……」と考えていたそうです。
しかし、岡澤さんと福永さんの作品に“光るもの”を見つけたため、修士論文や博士論文の口頭試問のような形で倉山氏がお二人と個別に面談。問題点を修正する意志があるか尋ねたところ、お二人とも丁寧に書き直して、受賞にふさわしいクオリティに仕上げてきたといいます。以下は倉山氏の審査講評です。
「2人の受賞理由はまったく違います。岡澤さんに関しては、最初は“佳作”かなと思ったんですが、ここまで完成度が高いものになった以上は大賞かなと、審査員一同、衆目一致で決まりました。極めて学術論文的なものになっておりますので、今後、救国シンクタンクで懸賞論文企画を続けていくときに、この水準を目指さなければいけないとなると大変だな、というところは懸念ですけれども、しっかりとしたものを書いていただいたと思います」
「福永さんは、“奨励賞”にしようか、あるいは“頑張ったで賞”にしようかと、審査員の間で大変激論になりましたけれども、『これはもう論文でも感想文でもなく、活動記録だな』という点は全員一致しまして(笑)。一方で『面白かった』という点も全員一致です。この面白さを残したまま、本当に問題があるところだけ直していただいて、賞をとれるクオリティに仕上げてくださいました」
「これを機に『アーカイブ』という言葉を普及させることが、今回の目的でしたので、お二人が参加してくださったことで、意義がある文書を世に問えるということになりました。次回以降は別のテーマになると思いますけれども、第1回にふさわしいお二人になったかなというふうに思います。兎にも角にもおめでとうございます」