“裸の王様”的な独裁者が日本の周りには3人もいる

伊藤(海) でも、それはありうることですからね。独裁者及び独裁体制にはありえる事態で、日本の周りにはそんな独裁者が3人もいる。

▲プーチンと習近平(2015年9月3日) 出典:ウィキメディア・コモンズ(パブリック・ドメイン)

桜林 中国や北朝鮮でも同じことが起きる可能性があります。

伊藤(海) ようするに合理的じゃないということです。合理的じゃなく戦争が起きると。

桜林 たとえば、独裁者の健康状態によって急に考え方が変わってしまう可能性も想定しなければならない。

伊藤(海) 日本も、本当にそこは真剣に考えなきゃいけない。

小川(陸) 独裁者は、目的はある程度決めていますよね。しかし、目的さえ達成できるのであれば、その手段が国際法などから逸脱していても強引に部下にやらせてしまう。ここは気をつけておかないと対応を間違ってしまいます。問題は、我々がそれをどうやって止めるかということです。残念ながら、敵の指導者が命ずる行動や作戦は、すべてが目的・合理的に行われているわけではありませんから。

小野田(空) ただ、「ロシアの情報戦は功を奏していない」という意見が、我々が接している西側の情報では大勢ですが、非常に面白い分析をTwitterで見つけました。イギリスの分析者が言うには、ロシアがアフリカ諸国やインドネシアといったところに向けて、SNSを駆使して偽情報を拡散し、親ロ派勢力を広めているとのことです。

なぜそれがわかったかというと、ようするにロシア語ではなくインドネシア語など現地の言語で、流されているからです。先ほど伊藤さんがおっしゃった、国連総会で棄権した国にそうした情報発信が集中している、という研究結果が出ているんですよ。

ですから、ロシアは国連での多数派を狙うのは無理にしても、「我々の行動は正しく、偽情報を流しているのは西側なのだ」という認識を持つ国を、一国でも増やそうとしているのだと思います。

その主張の当否はともかく、また効果も終わってから分析してみなければわかりませんが、この分析自体は傾聴に値します。ただ、情報戦にしてもサイバー戦にしてもそうだけれども、効果というものをどこで測定するのかは非常に難しい問題です。