ユーティリティ性は打撃と守備を切り離して見る
上記に挙げた中村晃のような、守備はもちろんのこと打撃でも各打順に適応できる、攻守に渡るユーティリティプレイヤーは今後も現れるだろう。このような選手を見ると、守備はもちろんのこと、打順もどこでもこなせるという錯覚に陥る。
しかし、打撃と守備のユーティリティ性の能力は、切り離して考えていかなければならない。外崎はまさにそのタイプだ。守備面だけを見ると、器用なうえに非常にハイブリッドなユーティリティというイメージが強い。そのため、打撃も臨機応変にうまく対応できるイメージがあるが、好きなように打てる打順や場面のほうが活きるタイプである。
このように、打撃と守備で切り離して見分けられるかもポイントになっていく。
若手の打撃型野手には二塁手の経験を積ませるべき?
今年のキャンプのときには、阪神タイガース・佐藤輝明の二塁手への挑戦が話題になった。佐藤の場合は、外野手でありながら三塁手としても無難に守れることや、糸原健斗の守備力やチームのバランスを考慮すると面白い試みだった。
これは、守備の面で優秀な遊撃手がいる前提ではあるが、歴代的に見ても落合博満や原辰徳、小久保裕紀、村田修一と言ったスラッガータイプの選手は、キャリア初期に二塁手を経験している。その結果、指導者になったときにも生かされている部分は少なからずあるのではないだろうか。
ユーティリティプレイヤーとしてではないが、キャリア初期の若い頃は体が肥大化していないことからフットワークも軽いため、最終的に三塁手として大成する選手は、二塁手も経験することが多い。実際のところ、外国人選手で見てもDeNAのネフタリ・ソトや、楽天や巨人に在籍していたケーシー・マギーといった外国人を二塁手で起用することによって、戦略面でバリエーションが効かせることができた。
センターラインとして高い能力が求められる二塁手だが、ひとつのオプション戦略として、若手で打力がある選手や内野手の外国人選手を起用するのも手段のひとつに違いない。