ネタについては、ずっと考えて考えて・・・

――ネタは普段、どういうところから着想を得られることが多いですか。

ヒコロヒー 普通に暮らしているなかですかねぇ。ポンと思いつくこともあれば、ずっと考えて考えてようやくかたちになるものもありますし……並行して(いろんなネタを)作っていく感じですね。まぁ、ピンで誰かに何かを言われることはないので、コンビの人に比べたら、ネタ作りがスムーズにいく部分はあるかもしれないな、とは思いますけど。

――例えば、自分に使える時間が多かった若手の頃とお忙しい今、ネタの作り方や志向に変化はありますか?

ヒコロヒー いやぁ、その辺りのことはわからないですね。もしかしたら変わっているかもしれないですけど、あまり意識したことはないです。ただ、ネタの出来上がりがギリギリになることはしょっちゅうあるというか。ギリギリというより、仕上がったと言っても、そこから終わりがないんですよ。どうやったって満足しないので、(ネタについては)ずっと考えて考えて……という感じです。

――ということは、本番当日まで揉まれるんですね。

ヒコロヒー うん、そうですね。だからホンができてからが勝負です。ホンはわりと早めに出来上がるんですけど、そこからどうやっていくか、というところに時間をかけて作っていきますね。

――例えば、コントの場合であれば、衣裳とか見せ方の部分でのこだわりもあるということでしょうか?

ヒコロヒー こだわりというか、衣裳に関してはダサい服は着ないようにはしています。誰かにダサいと言われようが、私がいいと思うものを着て(舞台に)立ちたいというのはあるかなとは思いますね。

――表現についても時間はかけますか? 見せ方にすごく説得力があるので、演出についても、いろいろと試されているのかなと思ったのですが。

ヒコロヒー いや、演出に関してはそんなに時間をかけてないですね。かけるのは、ネタの中身についてが大部分だと思います。

――ヒコロヒーさんのコントを拝見していると、日常で感じる違和感のようなものに対する着眼点が興味深いなと思います。そういう視点というのは、どういうところで身についたものなんですか?

ヒコロヒー どうなんでしょう? 普段から悪口ばっかり言ってるからじゃないですかね。昔から文句を言ったり、いろんなことがすぐ目につくんですよ。

――悪口、文句……それって、怒りが創作の原動力になっているということですか。

ヒコロヒー そういうつもりではないです。ただおもろいと思って作ってるだけで、世の中を斬ったろうと思ってネタを作ったことは1回もない。悪口とか文句めいたものも、ただただおもろいと思っているだけで、そこを皆さんに面白がってもらえてるっていうだけなのかなと思いますけどね。

ヒコロヒーさんへのインタビュー記事は、発売中の『+act. (プラスアクト) 2023年1月号』に全文掲載されています。