17歳から還暦までずっと不摂生。体がこれに慣れている

マントヒヒのブルドーザーが大暴れする怪作。主題歌はクレイジーケンバンドの『コワモテ』。小沢が敬愛する横山剣が書き下ろした。

「YouTubeでのサプライズ対談で会ったときに、『いつか俺が主演する映画に主題歌を書き下ろしてもらうのが夢です。そのときはお願いします』って頼んでたから、真っ先に連絡した。

そしたら『光栄です。作らせてもらいます。台本、送ってください』って即答してくれて。出来上がってみたら、タイトルがど真ん中のストライク(笑)。剣さんらしいセンス。イメージしてくれたのがすごくうれしくて。俺がもし死んだら、お別れ会とかやんなくていいけど、この曲は流してほしい」

▲主題歌はクレイジーケンバンドの横山剣がこのために書き下ろした『コワモテ』

50歳には死んでいると思っていた人生。60歳でも夢は続く。

「17歳から還暦までずっと不摂生なわけ。体がこれに慣れてるんだよ。50代後半とかになると、みんな酒を控えようとかタバコをやめようとか、健康意識が上がるじゃない? たちまち病気になるからね。俺はずっとこのまんまで、どっかでパターンって死ぬのが、ぽくていい。

昔は何も考えてなくて、現場で死ぬのが一番だと思ってたけど、これから先、役者をやってるかもわからない。最終目標は考古学者。『ONE PIECE』の(シルバーズ・)レイリーみたいに長髪、白髪でメガネかけて、前をはだけたら腹筋がちゃんと割れていて、酒瓶持って船の舳先に立っているような男が理想だね(笑)」

他人の目からは天性のように見える俳優業。だが、「ずっとやってきたけど、ぶっちゃけ、いい思いよりも苦しい思いのほうが強い。苦しい思いがあるからここまでやって来られた」と振り返る。

「辞めたいと思ったことはないけど、20歳ぐらいのときから、5年区切りで、“俺は向いてんだろうか。やれるんだろうか”って判断をして、その度に“もう5年やろう”と決めてきた。

ちょうど25歳のとき、初めてそう思った。あのときはもう、『ビー・バップ(・ハイスクール)』シリーズも4(『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭』)ぐらいだったはず。日活ロマンポルノが終わりで、最後のロマンポルノの『ラスト・キャバレー』という往年のポルノ女優勢揃いの映画と二本立てで、ベッドシーンもあるけど、アクションテイストのにっかつの映画『BU・RA・Iの女』の主演が決まってた。

その作品で、監督に『台本には台詞が多いけど、(高倉)健さんのように極力喋らないでどこまでもたせられるか、この先、役者で勝負できるか試してみたいんです』って、お願いしてみたら、『面白いじゃん!』って、当時の日活の監督は乗ってくれるのよ。

出来上がって、『どうだった? お前、いいよ。頑張れよ』って言ってくれて。『そうか、行けるか。とりあえず、30までやろう』って決めて、そこから5年ごとに考えて。でも、50歳からは考えてないね。だって、俺、50まで生きるつもりなかったから。だから、もう考えない」

▲最終目標は『ONE PIECE』のシルバーズ・レイリーのような風貌の考古学者