三ツ山古墳の存在を知ってもらえた
説明会には多くの参加者が集まっていたので、後日メールで学芸員の飯塚氏に質問をさせてもらったところ、丁寧に答えていただきました。
――先日の説明会では、わかりやすく解説していただきありがとうございます。この仕事に興味を持ったきっかけは?
飯塚 中学生の頃、部活の大会でよく行っていた会場の近くに、縄文時代の遺跡がありました。そのときに遺跡の説明看板が目に入って、少しずつ歴史に興味を持ち始めたと思います。そこから歴史を詳しく勉強したわけではありませんが、高校生になり自分の進路を選択せざるをえなくなったため、興味のあった歴史が学べる大学を目指しました。
大学入学後、考古学や文化人類学、哲学などのさまざまな学問を勉強するなかで、より学んでみたいと思った考古学を選びました。大学で考古学を専攻し、学芸員の資格を取得していても、一般企業(学芸員でない職)に就職する人がほとんどです。学芸員という職を意識しはじめたのは、大学で初めて参加した発掘調査です。
――飯塚さんにとって三ツ山古墳とは?
飯塚 三ツ山古墳に対する思いとして、私が豊橋市に就職して、初めて担当した保存目的の確認調査になるため、印象に残っていることは数多くあります。そのなかでも、先日(25日)の現地説明会は印象に残る日となりました。
約450名もの方々にお越しいただき、予想以上の反響でした。たくさんの関心を持っていただけて、純粋にうれしかったです。同時に三ツ山古墳の存在、また古墳としての価値を知っていただく素晴らしい機会になりました。
――今月21日には「石巻古墳ウォーク」が開催されます。ウォーキングをしながら「馬越長火塚古墳群」など、さまざまな古墳をめぐる企画のようですね。
飯塚 馬越長火塚古墳群は、馬越長火塚古墳、大塚南古墳、口明塚南古墳の3基からなる首長墓群です。古墳の規模や副葬品から各古墳に葬られた首長は、ヤマト政権と関わりの深い東海地方屈指の有力者と考えられています。
本古墳群は平成27年に国史跡に指定されました。そのなかでも馬越長火塚古墳は、6世紀後半に限定すれば、東海地方最大規模の前方後円墳です。遺体をおさめた横穴式石室も愛知県内最大の規模を誇ります。本古墳の出土品は国の重要文化財に指定されています。
古墳ウォークを開催する石巻地区は、県内でトップクラスの古墳密集地です。数だけでなく馬越長火塚古墳をはじめとする立派な古墳も近くで見ていただけます。大きな墳丘や横穴式石室の緻密な石積みをご覧いただき、千数百年の時を越えた古代人たちの熱い思いを感じていただければ幸いです。
2023年の大河ドラマ『どうする家康』で注目を集める東海エリア。徳川家康が活躍する時代よりも1000年近くさかのぼった古墳時代の有力者たちに思いを馳せながら、歴史の痕跡をたどってみるのも面白いかもしれない。
「石巻古墳ウォーク」は費用などもかからず、どなたでも参加できるため、興味のある人はぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
今年度も、石巻古墳ウォーク!を開催します。3か所の古墳をめぐり5枚の「御墳印」を手に入れましょう。簡単勾玉づくり(先着100名)や、キッチンカーも来場。冬の寒さを古墳めぐりでふき飛ばそう!
◆開催日:令和5年1月21日(土) 9:30~14:00受付 ※雨天の場合、翌22日(日)に開催
◆見学できる古墳:馬越長火塚古墳群・宮西古墳・権現山古墳群
◆参加費:無料
◆受付:豊橋市石巻本町字下黒田 県道81号線沿い
◆駐車場:県道81号線沿いにあり