第二先発候補からリリーフ陣まで…歴代最高級な面々
豪華な先発陣ばかり目を向けてしまいがちだが、第二先発からリリーフ陣もトップクラスである。
第二先発から見ると、高い奪三振率や驚異的なスプリットの被打率の低さを誇る髙橋宏斗は注目度が高い。昨年の強化試合でも、慣れない第二先発という役割ながら好投を見せた。国際大会では、髙橋宏のように空振りを取れる投手は重宝されるだろう。
昨シーズン、セリーグ奪三振王に輝いた戸郷翔征もフォークを駆使している。昨年の強化試合では、オーストラリア戦で二番手として登板。4イニングを7奪三振で被安打は1と完璧なピッチングを見せた。
さらに高橋奎二は、空振りを取れる球筋のストレートを持っているため、国際大会で非常に面白い存在になりそうである。さらに、これまでのキャリアを見ても短期決戦にも強いため、数少ない左の本格派としても期待できる投手だ。
今永昇太は昨年行われた「侍ジャパンシリーズ2022」で、素晴らしいピッチングを披露してくれた。アジアを中心とした一次ラウンドの対戦国を相手に、高いパフォーマンスが期待できる。そのため、この一次ラウンドでは長いイニングを投げるなど、フル回転の活躍に期待していきたい。
スピードボールが持ち味の投手が多いなかで、宮城大弥の価値も高い。昨シーズンの日本シリーズでは、緩急で打ち取る自身のピッチングスタイルをうまく活かして、チームを日本一に導いた。
また、東京五輪でフル回転の活躍を見せた伊藤大海もいる。東京五輪では、流れが相手に傾きそうな場面で動じないピッチングをして日本を救った。この大会でも、東京五輪のような活躍が期待される。
リリーフ陣を見ると、東京五輪でMVP級の活躍を見せた栗林良吏が、日本の守護神になりそうだ。この栗林のフォークも、ルーキーイヤーから2年連続で驚異的な被打率の低さを誇っている。
また、昨シーズン新人王の大勢や大ブレイクを果たした湯浅京己、日本シリーズでMVPといってもいい活躍を見せた宇田川優希も控えている。さらに国際大会の経験が豊富で、キャリアを通して高い奪三振率を誇るサウスポー・松井裕樹もいる。
これらの投手陣も、スピードボールにフォークを駆使してバッターを翻弄しており、国際大会で対戦する外国人打者相手にも、非常に心強い存在になっていくだろう。
これまでの国際大会を見ていくと、2006年の上原浩治や2009年の岩隈久志、2017年の千賀滉大や平野佳寿、増井浩俊といった水準以上のスピードボールにフォークを駆使した投手が活躍してきたことを見ると、今回の日本代表の投手たちも期待が膨らむ人選だ。
メジャーリーガーへの登竜門でもあるWBCのマウンド
これまでのWBCを見ても、当時NPBに在籍していながら大会で活躍する投手は、メジャーリーガーになっている。
2006年では松坂大輔や上原浩治。2009年ではダルビッシュや岩隈久志。2013年は前田健太。2017年は千賀滉大が活躍を見せて、今年からメジャーリーガーとなった。
下記が6投手のWBCの成績である。
2006年:上原浩治 3登板 2勝0敗 17回 16奪三振 防御率1.59
2009年:岩隈久志 4登板 1勝1敗 20回 15奪三振 防御率1.35
2009年:ダルビッシュ有 5登板 2勝1敗 13回 20奪三振 防御率2.08
2013年:前田健太 3登板 2勝1敗 15回 18奪三振 防御率0.60
2017年:千賀滉大 4登板 1勝1敗 11回 16奪三振 防御率0.82
上記の投手たちのほとんどに共通する点は、水準以上のストレートとフォークを武器にするところ。具体的に挙げると、上原や岩隈、千賀といった投手はフォークを武器にして、このWBCの舞台で大きく活躍した。
フォークを武器にすることに関しては、2013年のWBCで苦しんだものの、翌年からメジャーで活躍した田中将大も多用していた。
松坂やダルビッシュはフォークを武器にしてはいなかったが、松坂は大会を通して圧倒的なピッチングを見せ、ダルビッシュは高い奪三振率を誇った。
このような点を見ても、今大会は山本や佐々木といったNPBでもトップクラスの投手が、WBCの舞台で大きな活躍をして、数年後にはメジャーでも躍動する姿が見られるのではないだろうか。
歴代最高の投手陣と吉井氏という最高の投手コーチで、アメリカやドミニカ共和国といった強豪と、力と力のぶつかり合いを制し、2009年大会以来の世界一奪還に期待していきたい。