ゲリラ的に誕生した伝説のライブ

この世の中には皆さまが思っているより、たくさんのお笑いライブがある。

最近は地下芸人とか地下ライブなんて言葉をよく耳にするが、メジャーかメジャーでないか、もしくはキワモノかキワモノでないか、という違いがある。

私が東京に来たての2009年頃だ。そのとき初めて見たのが「地下芸人の代名詞」チャンス大城さんだった。

舞台上でカレーのナンを振り回しながら「なんの話やね〜〜ん♪」というブリッジ〔ネタとネタの間で区切りを付けるために差し込む、お決まりのフレーズや動き〕で、客がオシッコ漏らしたんじゃないかというくらい、大ウケしている現場を見た。

同じく永野さんやハリウッドザコシショウさんなど、東京にはテレビには出てないけど、とんでもない人たちがいるんだなぁと思い知り、不安になった。

「こんな人たちでも売れないのか」という気持ちと「だから売れないのかも」という気持ちが混在していた。

当時は誰も売れてない。そして全員が売れないまま、この時間が無限に続くのかと思われた。ただただお笑いライブに出るだけの毎日。

「お笑いのライブって、どんな感じなんだろう?」と気になってる方に、私が簡単に説明しよう。

基本的にお笑いライブとはネタとコーナーである。10組から15組くらいが順にネタをして、あとの時間は作家が考えた大喜利やゲームをする。ざっくりといえばこれに尽きる。もちろん例外もたくさんあるが、基本はこの流れである。

しかし約10年前、その概念を根本から覆すお笑いライブが爆誕した。

「ノーセンスユニークボケ王決定戦」である。

当時、新宿角座という松竹芸能の劇場があった(無念なことに今はない)。そこで毎日、前述のような「お笑いライブ」が繰り返されていたのだが、その隙間にまるで(いつものライブですよ)というテイでライブを敢行したのだった。