決勝まで行けたら優勝できると信じてる

――今年『M-1グランプリ』のラストイヤーですが、そもそも“M-1向きのネタ”はどのように意識していますか?

たかのり 大前提として、たくさんの人に楽しんでもらえるネタだと思います。そこを念頭に置いて作ってはいますが、“M-1らしいネタ”と思っていたら意外と寄席向きだったり、M-1を意識しないで作ったネタを披露したあとに後輩芸人から「そのネタ、M-1でいけそうですね!」と言われたり、ということがよくあって正直よくわかりません(笑)。

――ネタ作りだけでなくネタ選びも難しそうです。

周平魂 僕たちは6年連続で準々決勝敗退しているので、本来は準々決勝で強いネタを持ってきたい。ただ、年々3回戦突破さえ難しくなっているから、強いネタを3回戦でやらざるを得ません。また、3回戦のネタはネットで配信されるので「準々決勝に3回戦と同じネタをやると印象悪いかも……」とビビってしまって、血迷ったかのようにチャレンジネタや新ネタを準々決勝でやって全然ウケない、ということがよくあります。本当に準々決勝でウケた記憶がほとんどないです。

――強いネタが2つ必要ってことですね。

周平魂 そうです。「このネタなら3回戦はイケるやろ!」「準々決勝も同じネタでええやろ!」っていう後悔ばかりです。ただ、毎月の単独ライブに加えて、全国ツアーでもネタ作りすれば、強いネタを例年以上に持てる可能性が上がります。悔いなくM-1を卒業できるよう、やれることは全部やりたいです。

――準決勝での戦い方はイメージしていますか?

たかのり 準決勝は楽しくやれたら決勝進出、優勝できるってなんか勝手に思っています。虫のいい話ですけど(笑)。

▲悔いなくM-1を卒業できるよう、やれることは全部やりたい!

見取り図に「悔しい!」と思わせたい

――ちなみに手応えのあった年はありましたか?

たかのり ありました。いいネタもっている芸人に「お前、今年絶対行ったな」って声かけたり声かけられたりって結構あるんですけど、その予想って高確率で当たるんですよね。ももが決勝行ったときも、周りの芸人はほとんど“絶対行く”って思っていましたし、去年だったらロングコートダディやさや香は確実視されていました。僕たちも数年前に準々決勝を目前に控えて、『極みライブ』っていうライブに出演したのですが、どっかんどっかんウケました。

周平魂 そのとき、新山(さや香)とかから「決まりましたね」「ツートライブさんの準決勝は堅いです」って言われたんです。だから、そのネタ引っ提げて意気揚々と準々決勝に乗り込んだら、キンキンにスベりました。「話しちゃうやん!」ってキレ倒しました(笑)。

――ミルクボーイさんに可愛がってもらっている印象ですが、ミルクボーイさんが優勝したときには嫉妬などありましたか?

たかのり それはないです。ミルクボーイさんが発明したネタで優勝したので。また、駒場さんが漫才から離れて、それでも内海さんが信じて待っている姿を見ていたので、優勝した瞬間はニ人のこれまでの軌跡を思い出して感動しました。

周平魂 NSC在学中、「こんなライブにおもろいやつおらんか?」って尖り散らかしながら、地下でやっているインディーズライブに出演したんですよ。そこにミルクさんが出演していて、そのとき見たネタが面白すぎて「こんな面白い人たちが劇場所属になってへんの?」「調子こいてられへんわ……」って気持ちを引き締めたことがあります。インディーズライブで共演するうちにミルクさんと仲良くさせてもらって、本当に長い間いろいろお世話になっている先輩なので、嫉妬とかはなかったです。

――じゃあ、ほかに嫉妬した芸人さんとかは?

たかのり 僕たちも芸歴が長いので「なんであいつが売れてんねん!」みたいなのはありません。そういうガツガツした気持ちって大切だと思うんですけど。M-1に関しても準決勝、決勝進んでいる人ってみんなめっちゃ頑張っているんですよ。サボってるやつがいない。みんな単独ライブやって、新ネタ作って努力している姿を見ているので嫉妬心はないです。

周平魂 嫉妬ではないですけど、見取り図さんは根に持ってることがあります。というのも、1年目からずっとお世話になっている大好きな兄さんなんですけど、芸歴が1つしか変わらないのに、これまで一緒に何百回ものライブに出場して勝ったことが1回しかないんですよね。その1回も50~60人くらいしかお客さんがいないライブでの投票です。

――芸歴が1年しか違わないのに……。

周平魂 ホンマそう! 最近はバトルライブで共演することはないけど、もし戦えたら変なスイッチが入ってしまうかもしれません。「絶対負けられへん」っていう。ボロ負けなんですけどね(笑)。

たかのり じつは見取り図さんもサボっていた時期があるんですけど、そこでも勝てなかった。だから、嫉妬心とは違いますけど「悔しい!」と思わせたいコンビですね。