家康や信長が現代日本に与えた影響とは?
当時の仏教勢力は大きな経済力を背景にして、諸大名の政治にも介入するなど絶大な権力を持ってました。信長がおこなった有名な経済政策として「楽市・楽座」があり、この政策には仏教勢力のやりたい放題にストップをかける目的が含まれています。
「楽」という言葉には「自由」という意味もあります。座への加盟料や市場のテナント代を廃止し、自由な商売を推奨したのが楽市・楽座になります。また、信長は関所もなくして、人の移動も自由にします。それによって、信長の領土には多くの人々が集まりました。
信長が領土を拡大するたびに経済が改善されるため、現地の民は大喜びで信長を迎え入れました。この楽市・楽座によって、大量のお金が信長の懐に入り、これを軍事費の資本として使ったため、信長は戦国最強の軍事力を保持できたのです。
家康や信長が仏教勢力と激しく対立したのは、仏教勢力が今までの既得権を奪われたことが理由になります。結果として、この戦いは家康と信長の勝利によって終わります。しかし、彼らは寺を取り壊すことはせず、宗教活動の自由は認めています。約10年にわたって抗争を続けた石山本願寺に対しても、信長は「今までのことは全て許す」とし、宗派を解体することはありませんでした。
現代の日本人が宗教を意識せず生活できているのは、家康や信長が仏教勢力と徹底的に戦い、寺の武装解除に成功したからです。『ローマ人の物語』で有名な塩野七生氏は、日本が政教分離を実現できた理由として信長を上げています。そして「日本人に与えた最大の贈り物」とさえ言っているのです。
日常生活の中で宗教を意識しないことを、私たちは当たり前に感じています。むしろハロウィーンやクリスマスなど、他の宗教文化を受け入れ過ぎているような状況です。世界に視点を移すと、宗教によって今でも激しい対立が繰り返されています。こうした現状を考えると、確かに家康や信長に感謝する必要があるのかもしれません。