とろサーモン・村田秀亮が発売したレシピ本『とろサーモン 村田秀亮の 中華鍋ひとつで山中華 焚き火に映える「ガチ」の50品!』(グラフィック社)。この本には村田が考案したキャンプで作れる中華料理のレシピが紹介されている。

▲『とろサーモン 村田秀亮の 中華鍋ひとつで山中華 焚き火に映える「ガチ」の50品!』(グラフィック社)

“中華料理×キャンプ”と聞くとかなり珍しい組み合わせのように思えるが、村田にとってはどちらも大切な存在なのだという。中華のカッコよさを教えてくれた父の存在、そしてキャンプと出会った思い出や “山中華”誕生のきっかけなどインタビューで聞いた。

▲村田秀亮(とろサーモン)

幼少期から憧れていた中華鍋を振る父の姿

――レシピ本の発売おめでとうございます。書籍化が決定したときの心境はいかがでしたか。

村田秀亮(以下、村田) 中華はよく作っていたんですけど、書籍化にあたり「50品レシピを用意してください」と言われたので、最初はできるか心配でした。15品くらいしかレパートリーがなかったので。

――書籍化に向けて新たなレシピを考案されたんですね。

村田 親父が陳建民さんの5番弟子だったので、実家に陳建民さんのめちゃくちゃ古いレシピ本があったんですよ。それを送ってもらって、参考にしつつ自分なりにいろいろ考えました。

――それはかなり貴重ですよね! そのレシピ本を見て料理をしたことはあったんですか?

村田 実家にあるのは知ってたんですけど、見たことなかったです。今回、初めて読んだんですけど、開いてみたら全部中国語で書かれてて。漢字から「たぶん、これのことだろうな」と予想して作りましたね(笑)。でも、聞いたことないような調味料ばっかり出てくるんですよ。だから、それをスーパーでも買えるような調味料に置きかえるっていうのは工夫しましたね。

――たしかに、どれもなじみの深い調味料を使用しているので、中華なのに簡単にできそうだなと思いました!

村田 ホンマは書いてある通りの調味料でやりたいんですけど、知らない調味料ばかりの料理だと「作れるか!」ってなるじゃないですか(笑)。だからそこはこだわりました。

――レシピにはお父様から教わったものもありましたね。

村田 四川担々麵ですね。親父の料理のなかでも、めちゃくちゃ好きなやつなんですよ。でも、子どもの頃は「担々麵を食べたい」って言っても、なかなか作ってくれなかったです。代わりに家の軒下にある蜂の巣を取って来て、その卵や幼虫をピリ辛く味付けしたやつとか出してきましたね。ワイルドな親父です(笑)。

この担々麺は、マルタイのインスタント麺を使うんですよ。普通、四川料理の担々麺は卵麺を使うらしいんですけど、卵麺なんて普通のスーパーじゃ売ってないじゃないですか。だから、コンビニでも買えるこの麵で代用するんですけど、歯ごたえとかも卵麺と似てるんですよ。

▲親父に教えてもらった「四川担々麺」

――幼少期から慣れ親しんだ思い出のレシピなんですね。

村田 でも、親父は天邪鬼なんで作り方を直接は教えてくれなかったです。母親が親父が作ってるのをマネして作ってくれてたんで、母親から教えてもらいました。

――お父様が働いていたお店にはよく行っていたんですか?

村田 家族で行ってましたね。親父は、徳島のそごうに入っていた中華料理店で料理長をやっていたんですけど、お店に行くと厨房に入れてくれたんです。親父が鍋をカンカン鳴らしながら、中華鍋を振ってる姿がかっこよくて、ずーと見てましたね。あと、営業中は使った中華鍋を洗わずにどんどん積み重ねて置いていたんですけど、その鍋についたエビチリとか麻婆豆腐とかがうまくて、よく舐めてました(笑)。

――素敵な思い出ですね。

村田 料理をする親父はめっちゃかっこよかったですね。中華を作ってる人の姿は今でも好きなので、厨房が見える町中華とかに行ったときは、ずっと見てしまいます。白髪のおじいさんとかが中華鍋を振ってたり、お玉で調味料をすくってシャッシャと入れてるのとか、やっぱりカッコイイんですよ。

▲「四川料理のお店には今でもよく行きますね」