営業先の企業の「なんでだろう」を探す
――どんな場所でも盛り上げたい、テツトモさんのプロ魂ですね。
テツ それまでは一方的にやるだけだったんですけど、一緒に盛り上がれることをやったらいいんじゃないかって。そのひとつが、事前に呼んでくださった幹事の方と実際に話し合って、皆さんがわかる「なんでだろう」、その日しかできない「なんでだろう」をやったら盛り上がるんじゃないか、そう考えてやり始めたんです。
――素晴らしいです。
テツ だから、ネタを集めるための打ち合わせが、すごく楽しいと言いますか。
トモ 例えば、お祭りに行ったら、 その地域のことをいろいろと聞くんですよ。近くにどんな場所があるかとか、名物はこれだとか。
テツ ガイドブックとかには載ってないことを、地元の人は知ってるんですよね。
トモ それで、ネタのなかに「あそこの〇〇がおいしいのは、なんでだろう」と取り入れると盛り上がるんです。でも、知らずにやるのもリアリティーがないので、時間があればなるべく実際に購入して食べたりしてます。食べれば舞台で感想も言えますしね。なにより、その土地を知ることができて楽しいです。
企業さんの営業に行ったときは、企業さんならではのなんでだろうを伺います。例えば、エレベーターを製造されてる会社の方が教えてくださったのは「エレベーターに誰も乗ってなかったら、10円玉を立ててみたくなるの、なんでだろう」。振動で倒れないかなどのチェックをするそうです。
美容師さんだと、お客様の頭を洗うときに気を遣って頭を少し浮かせる方がいるそうです。首から水が入るので全部ゆだねてほしいとのこと。実際、自分がやってたことにも気づかされます。さまざまな話をネタに取り入れると「あ、そうそうそう」「なんで知ってるの」と、たくさんのお客様がライブに参加してくださるようになりました。ネタの中身に興味を持ってくださり盛り上がるんです。
――そういう努力をされているから、何回も呼んでもらえたりとかするんでしょうね。お客さんの盛り上がりもそうだし、実行員の人たちも本当に呼んでよかったなって。
テツ めっちゃくちゃうれしいんですけど、それはそれで大変なんです(笑)。前回はこのネタをしたから、どうしようかな、何やろうかなと考えます。でも本当にありがたいです。
トモ 本当だったらね、自分たちのネタだけパッとやって、パッと帰ってくれば、そんな楽なことはないんですけど(笑)。僕たちの場合、それだけでは盛り上げきれないので。
テツ それだったら楽だと思う(笑)。
トモ 本番時間のかなり前に入って、呼んでくださった皆さんと打ち合わせをさせていただきます。そこで出たネタを本番までに覚えるわけです。せっかく覚えても、その日しかできないのは残念ですが。毎回、新ネタなので大変ですが、そのネタで盛り上がったときは達成感がありますよ。
テツ そうそう、その達成感のためにやってるね、その一瞬のため。
トモ 営業先の若手の方たちが一生懸命考えてくださり、大爆笑でライブが成功。「ありがとうございました!」と喜んでくださり、涙を流して抱き合ったこともあります。みんなのおかげで!って、なんか部活をやってるみたいです。
テツ そう、毎回アツい。ひとつのネタをみんなで、その会社の方と一緒に作り上げてるみたいな感覚はあります。それは楽しいです。
25年コンビを組んでいるお互いの好きなところは?
――テツトモさんの25周年の重みを感じました。これは個人的な趣味になってしまうんですが、それぞれこの機会に、お互いのこういうところが好きっていうのをお聞きしたいなって。
テツ・トモ えーっ……。(と言いながら照れ笑いを浮かべ考え込む)
――その姿、とても可愛らしいです(笑)。
テツ テツandトモのプロデューサーはトモなんですよ。 で、僕は俳優みたいな立場。トモは監督兼プロデューサーでもあって、全体的に見てるんですよね。僕は自由に演技させてもらって、監督から言われたことに対応するって気持ちでやってます。
戦略家でもあるし、客観的に見てるところはありがたいですね。僕はもうこんな感じで、ワハハ~って楽しんでやらせてもらってるので(笑)、トモがそういう役割をしてくれているのはありがたいなと思います。
――トモさんはいかがですか。テツさんに対して。
トモ 監督って! そんなことは思ってないですが、例えば“こういうネタを、こういうふうにやりたいな”と考えて作ったら、僕が思っている以上のことをテツがやってくれますね。僕では、ここまで表現できないなとか、想像以上に動いてくれる部分は多大にあります。好きというか、尊敬してます。
テツ それは俳優ですよね、やっぱり。
トモ いやいや、僕も監督じゃないし、テツも俳優じゃないし(笑)。
テツ 監督のイメージ以上を目指すじゃないですか、俳優さんって。びっくりさせたいというか。そういうのは出したいよ、目標としてはね。