赤ジャージを着ると人格が変わるテツ

――毎回ネタを見ていても感じますが、テツさんの運動神経や瞬発力はすごいと思います。

テツ　ありがとうございます。こうやって赤ジャージを着ることによって、自分の中でもスイッチを切り替えてやってる部分はありますね。

トモ　あと、僕には無理なんですけど、例えば、300人のパーティーだったら、もちろん全員に見ていただきたいんですが、後半になったりすると後ろの方は喋っていたりするわけですよ。テツはそういう、皆さんが喋ってるところにステージを降りて突っ込んでいくんです。

僕は精神的にそれはできないし、見たい人だけ見てくれればいいと思うんだけど。でも、見てない人も驚くし「おお、ここまで来てくれた！」みたいになって、みんな盛り上がるんですよね。テツの惹き込む力はすごいと思います。

テツ　若い頃は“なんだよ、見てねえのかよ”っていうような気持ちでやってたこともありました。パチンコ店の営業も行かせてもらったことが何度かあるんですけど、やっぱり皆さんパチンコをしに来てらっしゃるから、僕たちのことは別にどうでもいいんですよね。

そういうとき、絶対に振り向いてくれないだろうっていう人のところに、僕は一生懸命アピールしに行くわけです。動きだとか喋りかけたりとか。そういう人から「おおお、頑張ってな」とか、一瞬でもニコっとかしてくれたりすると、そのときに「よっしゃ！」って。気持ちが伝わったんだと思えた瞬間が何回かあったんです。

そういうのがうれしくなって、僕たちに興味を持ってもらえるように、見てもらうために気持ちで動いていったら、きっとつながると思って頑張っていく、原点はそこなんです。だから、パチンコ屋さんの営業に鍛えられました(笑)。

――大学生の頃のテツさんと比べたら別人ですね。

テツ　そうですね、赤ジャージ着てればですけど(笑)。脱いじゃったら、やっぱり……うーん、ちょっと弱いかも(笑)。今の嫁もそうなんですけど、僕がお笑いをやるなんていうことは全く考えていなかったと思うんですよ。

トモ　今の嫁？　昔の嫁がいるの(笑)？

テツ　同じ嫁(笑)！　ごめんなさい、こういうところに監督の指摘が入るんですよ…(笑)。付き合ってた頃から「お芝居やめたほうがいいよ」「芸能界やめたほうがいいよ」って言われて……。僕がお笑いをやるって、そんな人間じゃないことも嫁が一番わかってるから。

でも、そういう自分だけど、こうやってテツandトモのテツを、赤ジャージを着てやらせていただいて、ちょっとでも喜んでいただけるならこんな幸せなことはない。こんな僕でも喜んでもらえるんだったら、僕はいくらでも頑張ります。元気なうちには、応えられることをフルでやりますよ、っていうところが原点にありますね。

▲元気なうちはフルパワーで笑いを届けていきたい

今年はいろいろな音楽フェスに呼んでほしい

――ご両親とか奥さまとか、家にいるテツさんと比べたらびっくりされますか。

テツ　たぶん、子どももそう思ってると思います(笑)。

トモ　テツは授業参観とか普通に行くもんね。

テツ　行っちゃう。そう、長男が小学3年生の頃かな、授業参観に行ったときにね、隣のお母さんが「ここのクラスに、なんでだろうのテツトモの子どもがいるらしい」とか話してることがあって。俺が隣にいるんですよ(笑)。

――全然気づかれてない(笑)。

テツ　そうなんです。赤ジャージを着てなかったらわからないんだってのと、こういうふうに噂って広がっていくんだなって思いました。ほかにも、うちの嫁が行ってる美容室で「あそこの小学校にテツandトモの子どもがいるみたいですよ」って言われたらしくて。 だから、みんな言わなくても知ってるし。もしかしたら子どもも何か言われたのかもしれないけど、おかげさまでしっかりと育って、その長男も無事に大学に行ってます。

トモ　すごいよね。本当、素晴らしい家族なんですよ。

――25周年を迎えて、今後やってみたいこととか、挑戦してみたい野望とかはありますか？

テツ　野望というか、単純に今年はいろいろな音楽フェスに呼んでいただきたいなっていうのはあります。なんでだろうが披露できるような、そんなステージがあれば呼んでいただけたらうれしいです。

――声も出せるようになりましたからね。

テツ　あー、そうですね、いいですね。

トモ　昨年の秋にテイチクレコードさんから『愛しい人よ』というシングルCDを出させていただきました。たくさんの方に聞いていただきたいです。テツが歌手志望だったこともあり、これまでもお笑いライブの一番最後に普通の曲を歌ってました。持ち歌がない頃は「あずさ2号」を歌ったりして。今は自分たちの曲も歌ってます。この「愛しい人よ」で紅白歌合戦に出場することが、今の最大の目標です。

――すごくいい曲ですよね。あの曲をお笑いライブの最後に歌うと、ひとつのエンターテイメントになると思います。

トモ　ありがとうございます。お笑いライブを見に来たのに、即売会でお客様がCDを購入してくださって。とてもうれしいです。今後も、お笑いと歌で元気を届けられるよう頑張ります。昔は世界に行って……とかも考えていましたよ。

――あ、でも「なんでだろう」って世界でもできるネタだと思ってるんですが。

トモ　最近ですと、とにかく明るい安村さんも世界で活躍されてますね。昔テレビのロケで、海外4～5ヵ所に行きました。メキシコの路上や、タイの首長族の皆さんの前でネタを披露したり、韓国の番組にも出させていただきました。

テツ　当時、すごくウケてた「昆布が海の中で出汁が出ないのはなんでだろう」ってネタを韓国でやったら全然ウケなくて。なんでウケないのかって通訳さんに聞いたら「韓国は昆布で出汁とりません」って(笑)。

〇今年で結成25周年！ きっかけは友人の結婚式の余興【Crunch-special-intervieW-前編】

テツandトモ「芸人を始めて３ヶ月でできたの“なんでだろう～”」 | WANI BOOKS NewsCrunch（ニュースクランチ）

「なんでだろう〜」で知られるお笑いコンビ・テツandトモ。今年結成25周年を迎えた彼らに、芸人になったきっかけ、お世話になった立川談…

〇【MV】テツandトモ / 愛しい人よ

プロフィール

 

テツandトモ

左・中本 哲也(なかもとてつや) / 右・石澤 智幸(いしざわともゆき)
生年月日   1970年5月9日 / 1970年5月10日
出身       滋賀県 / 山形県
血液型    A型 / B型
Twitter：@tetsu__and_tomo、YouTube：テツandトモチャンネル