あきらめる、という言葉にネガティブな印象を持つ人は多いかもしれません。あきらめたら負け……。しかし、あきらめることは逃げることではありません。それどころか目の前にある現実を直視し、人生を前向きに生きるために欠かせないマインドリセット法なのだと、精神科医の藤野智哉氏は言います。

※本記事は、藤野智哉:著『あきらめると、うまくいく』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

「できないことはできない」を受け入れる

「あきらめる」と聞くと、心理的抵抗を感じる方が多いのはなぜでしょう。夢を追いかけることをやめたり、途中で投げ出したりなど、マイナスなイメージで使われることが多いからでしょうか。しかし最近広く知られるようになったことですが、仏教では「あきらめる」と「明らかにする」は同じ語源だと言われています。

私はみなさんにあきらめることを強く推奨したいと思います。「あきらめる」という言葉は、いったいどんな意味を持っているのでしょう。

あきらめる。

それはあるがままを受け入れるということです。あなたが何か大きな失敗をしたとします。あるいは仕事を抱えすぎて心がパンクしそうになったとします。あなたは最初に、いったい自分のどこに原因があったのかを明らかにする必要があります。

もしあなたのキャパシティーを超えてしまっていたのだったら、その事実を正面から受け入れて理解することです。

「できないことはできない」と知ることはとても大事なのです。

「できないことはできない」を受け入れる イメージ:PIXTA

たとえばかけっこが遅い人に、運動会だから速く走れと言っても無理でしょう。トレーニング次第で多少の改善はするでしょうが、「走る」「ジャンプする」などの基本的な動作・運動能力は先天的な要素が大きく関係するからです。

できないものはできない。あきらめるというとすごく残酷なイメージがあるかもしれませんが、できないことはできないと認めた上で、違う方策を考えることが重要です。覚えることが苦手なら、その場でメモをすればいいわけです。記憶することをあきらめたからこそ、次のステップに進めるのです。