勝つチームづくりとポストシーズンに向けた補強

では、トレードによる完全な穴埋めは不可能な中、どうすれば勝てるのでしょうか。ここはもう開き直って、如何に相手を最小点に抑えつつ、ギリギリ勝てるレベルの得点を捻出して、滑り込み優勝を狙う投手型チームへ舵を切るしかない。

実際、投手陣はそこまでテコ入れは必要ないかと思います。ブルペンは前述のとおり盤石で、先発投手陣も一見は全体15位と平均並みではあるものの、蓋を開いてみるとエースのゲリット・コール選手をはじめ、先日復帰登板を果たしたFA目玉補強のカルロス・ロドン選手、(先日記事で取り上げさせて頂いた)完全試合を成し遂げたドミンゴ・ヘルマン選手、若手有望株らクラーク・シュミット選手とランディ・バスケス選手、と実態としては割と固いメンバーが揃っています。

ここまで絶不調のネスター・コルテス、ルイス・セベリーノ、ジョニー・ブリトーらが不甲斐ない登板を重ねてきたことにより全体の数字は物足りなく見えますが、(ここから怪我や極端な不調がない限り、と超楽観的に見るのであれば)そこまで問題はないでしょう。

出典:Baseball Reference社

問題は、いくら投手型チームを目指すとしても淡白すぎる打線。補強ポイントは明らかで、冒頭に述べたとおり、前述のサード、レフト、そしてDHです。3つのうち1つでも埋められれば、ギリギリ不合格ラインくらいには立てると思われます。そして盤石な投手陣の元では、そのギリギリ不合格が補欠繰り上げ合格として認められることでしょう。瀕死状態でもなんとかシーズンを完走し、プレイオフに滑り込める可能性が十分あります。

ただ、ここまではシーズン中の話。仮にプレイオフへ行けた場合は、もう一人エース級の先発投手が必須となります。プレイオフでは最悪3~4人ローテーションで回せますが、実際プレイオフで自信を持って送り出せる先発投手はエースらのコール選手とロドン選手のみ。ヘルマン選手、シュミット選手、バスケス選手は数イニングなら頼れなくもありませんが、安定性に欠けてしまうため早期交代が濃厚になります。

そして貧弱打線で挑むのであれば、最高の舞台でも長いイニングを投げられる、名目ともにエースがもう1枚は欠かせません。