サッカー日本代表選手の一冊!
さて、ここまでは僕が学生の時に読んでいたものを紹介しましたが、3冊目は最近出版されたものを紹介します。
皆さんが大好き、サッカー選手の著書をいきましょう!
『「ずる賢さ」という技術 日本人に足りないメンタリティ』(著:守田英正/刊行:幻冬舎)
僕が過去に読んだサッカー選手の自伝的な本で最も面白いと感じたのは、守田英正選手の著書『「ずる賢さ」という技術 日本人に足りないメンタリティ』です。
守田選手の半生を知れるだけではなく、読んだらサッカーが上手くなれると思います。
僕の個人的な意見ですが、育成年代のサッカーは「上手くなること」にフォーカスしすぎている、と思っています。
そりゃプロになるには上手くなる必要がありますが、「もうあと数ヶ月でサッカーは引退だから、1試合でも多くこの仲間で試合をしたい」と思っているサッカー少年も多いはずです。
なのに、そういう人があと数ヶ月で引退だというのに、上手くなるための基礎練習をしているというのが、僕には矛盾を感じて仕方ないのです。
1試合でも多く試合をしたいのなら「上手くなる」ことより「自分より上手い相手を倒す方法」を考えるほうが効率がいいのに。
例えば、守備のステップワークを練習するより、相手の利き足をキックオフの段階で把握しておくほうが一対一は簡単に勝てます。
前者は長い時間をかけて身につける必要があります(日本人はそれを美徳としがち)が、後者は下手をすれば、例えば、守田選手が「こういう手法あるよ」と、書いている内容を知ることで1日で選手として変わる可能性があります。
本書の内容で言うと、僕が興味深いと思った守田選手のボランチ論で「綺麗な三角形を作らない」というものがありました。
自分がサッカーをやってきて教わったことがない考え方で、とても面白くてピッチで試してみたいと思わされました。
そんなことを学びつつ、しっかり守田選手の物語も描かれているので、読書感想文にはかなり向いているのではないでしょうか。
ただ、かなりぶっちゃけながら書いているので、文中で守田選手が語っている“参考にしない”という価値観をより意識する必要があると思います。
守田選手はこれでうまくいったけど、あなたがこれでうまくいくとは限りませんからね。でも、上手くなれる道がたくさんあるのがサッカーの面白さでもありますよね。
最後に、同じくサッカー選手として上手くなるために紹介したいのが、現在、鹿島アントラーズの監督を務めているこの方の一冊です。
『FOOTBALL INTELLIGENCE 相手を見てサッカーをする』(著:岩政大樹/刊行:カンゼン)
正直こちらは読書感想文にはあまり向いていないかもしれません。サッカーの参考書のようなものなので。
しかし、サッカーの参考書としては僕が人生で読んだ本の中で確実にNo. 1です。
「センター試験、これ一冊でOK」みたいなサッカーの知っておくべき原則がみっちりとポジションごとに書かれており、自分がやらないポジションについても読むことで、チームメートが何を考えてプレーしているかの解像度が上がること請け合いです。
僕は大学までサッカーをやっていたので、8〜9割くらいは「知っているよ」という内容でしたが、逆に1〜2割も知らない内容があるということに、抜け落ちているサッカーの原則があったんだ、と再確認できました。その1〜2割、すごく大切です。
個人的には、こぼれ話のように書かれていた「スローインを受けるとき、相手の前に入って背中や腕で相手を抑えてボールを呼び込むのが大間違い」であることや、「ロングボールを味方の一番強いフォワード目掛けて蹴るのが大間違い」というような内容も、とても面白かったです。
スローインを受けるときは、相手の背後の同一視できないところから受ける瞬間だけ相手の脇に顔を出すのが正解(相手は同一視できないのをイヤがるから背後に入ろうとする。そうするとスローワーとの距離ができて受けやすい。相手が背後に入ろうとしなければ、自分を見えてないということなので受け放題。そこは「相手を見て判断」してください)。
ロングボールは相手のサイドバック(センターバックよりヘディングが強い確率が低い)めがけて蹴って、そこにこっちの一番強い選手が走り込んで助走をつけて競るのが正解です(もちろん、「相手を見てサッカーをする」が最重要なので「正解の可能性が高い」ですが)。
余談ですが、川崎フロンターレなどで長年プレーし、僕がお世話になっている指導者の方は「全部知ってる内容やったけど、言語化が上手いから指導の勉強になるわ」とおっしゃっていました。そういう意味では指導者の方もぜひ読むべきかと思います。
さて、出版社の方から頂いたこのコラムのお仕事で、他社の書籍を紹介しても良かったのでしょうか?
ワニブックスさんからは岩政大樹さんの著書『FootBall PRINCIPLES -躍動するチームは論理的に作られる-』(発行:JBpress / 発売:ワニブックス)が出ていて、こちらもとても面白いのでぜひ。
とってつけたような書き方になっちゃったな。もっと文章力をつけないと、だ。