本のタイトル会議ではクズぶりを発揮

――『不器用で』という本のタイトルはどうつけたんでしょうか?

ニシダ これは、この日までにタイトルが決まらないとヤバイ、っていう日があって。編集者さんやスタッフさん含めて「みんなでいっぱい案を持ち寄って、Zoom会議をしよう!」ってことになったんです。

――楽しげに言ってますけど、編集者さんからしたら……。

ニシダ 大変ですよね。“決めとけよ、ふざけんじゃねぇよ”と思ってたと思います。ただ、その会議に僕は1つもアイデアも持たずに出席して……。

――ハハハハハ!(笑)、そういうところではクズを発揮されてるんですね。

ニシダ (笑)。「ありますよ」って顔で出席して。で、編集者さん2人が20個ずつくらいアイデアを出してくださって。ただ、『不器用で』は、その中にはなかったんですよ。雑談しているうちに「この本の登場人物、みんな不器用だよね」って話になって。「“不器用”っていいんじゃない?」ってなりまして。そこからタイトルに決まりました。

――小説に出てくる具体的な単語ではなく、作品全体の雰囲気というか感覚でタイトルがつけられたというのもいいですね。チームでイメージを共有できてると言いますか。

ニシダ そうですね。助詞もいろいろ考えて、最終的に『不器用で』に決まりました。決まったときには、みんなで「良かったぁ~」ってなりましたね。

▲タイトル案を用意してないのがバレないように必死でした

――ちなみに、相方のサーヤさんに文筆活動について何か言われたことはあるんですか?

ニシダ あんまりないですね。読んでくれたとは思うんですけど。

――小説を読んだり、お話を聞いていて感じるのは、ニシダさんって本当は言いたいことがめっちゃあるんだろうなって。

ニシダ ああ、まあ、そうですね。

――バラエティとかに出てても、言いたいことはあるけど飲みこんでるんだろうなって思いました。

ニシダ いや、こんなことを言うと元も子もないんですが、芸人なんですけど、喋るのが得意ではなくて……。“喋る”っていうのは「テレビ番組で喋る」ということではなくて。「友達とコミュニケーションをとる」とか「うまく意思疎通をする」ということが、あまり得意ではないんですよ。それが原因で親とも揉めてるし、友達が少なかったりするんですけど。小説は自分が考えてることをフルに出すことができるので楽しいですね。

――ニシダさんの声とツッコミは素晴らしいと思ってます。

ニシダ ありがとうございます。

結婚式に呼ばれたことがない!?

――最後になりますが、今後やってみたいことはありますか?

ニシダ やってみたいことか……。なんでしょうね。

――芸人としてでも、プライベートなことでも。

ニシダ 結婚式に呼ばれたことがないんですよ。

――ハハハハハ!(笑)

ニシダ コンビ共通の知人なのに、サーヤさんだけ呼ばれてて僕が呼ばれないってことがザラにあって。大学時代の友達とか。なので、結婚式に呼ばれたいですね。ご祝儀を払わないと思われてるのかな?

――(笑)。申し訳ないですが、なんかわかる気がする……。

ニシダ ジャージで来るんじゃないかとか、いろんな危惧をされてるんでしょうね。やらしいですけど、言ったらテレビ出てるし、呼びたいんじゃないかなと思うんですけど。その、ちょっと有名っていうのを打ち消すくらい、何かが足りてないのかなって思ってしまいますね。

――笑っちゃいけないですけど、面白いです(笑)。

ニシダ “何がダメなんだろう?”っていう気持ちがあります。来年には30歳にもなりますし、ダメなところを改善していきたいですね。

――それがなくなっちゃうとニシダさんじゃなくなっちゃうのかな、とも思ったりしますけどね。

ニシダ ああ、そうですね。呼ばれないくらいが自分らしいのかもしれないです。

(取材:山崎淳)


プロフィール
 
ニシダ
1994年7月24日生まれ、山口県宇部市出身。2014年、サーヤとともにお笑いコンビ「ラランド」を結成。本書が初の著書となる。X(旧Twitter):@mouEyo_Nishida、ラランド公式サイト:https://www.lalande.jp/