今年の夏の甲子園が8月6日に開幕した。

今大会は前評判通り、慶應義塾や履正社が出場校のなかでも攻撃力の高い打線を誇っている。

この夏の甲子園に向けて発売され、さまざまな媒体・書店でランキングの上位を占めている『戦略で読み解く高校野球』(集英社)の著者であるゴジキ氏が、21世紀で甲子園をバッティングで沸き立てた強打者たちについて語る。

21世紀の高校野球最強打者は森友哉

21世紀の高校野球における最強打者は、大阪桐蔭に所属し、2年生のときに春夏連覇に導いた森友哉だと個人的に思っている。

森は、1年秋から正捕手として出場しており、秋季大会では打率.571、3本塁打、10打点を記録し、脅威の打率5割越えをマーク。

さらに、2年・3年の甲子園の通算成績は、打率.473、5本塁打、11打点を記録。

U-18にも2年生から選ばれており、2年生では、打率.323、1本塁打、2打点を記録。3年生では、打率.406、1本塁打、15打点を記録した。

下記が大会別の打撃成績である。

・1年秋(大阪大会、近畿大会) 打率.571、3本塁打、10打点
・2年春(甲子園) 打率.444、1本塁打、2打点
・2年夏(大阪大会) 打率.556、1本塁打、5打点
・2年夏(甲子園) 打率.400、2本塁打、2打点
・2年(U-18) 打率.323、1本塁打、2打点
・2年秋(大阪大会、近畿大会) 打率.457、0本塁打、11打点
・3年春(甲子園) 打率.800、0本塁打、3打点
・3年夏(大阪大会) 打率.400、1本塁打、9打点
・3年夏(甲子園) 打率.500、2本塁打、4打点
・3年(U-18) 打率.406、1本塁打、15打点

どの大会でもハイアベレージを記録し、この頃から天才的なコンタクト力はトップクラスだったのは一目瞭然。

また、プロ入り後はなかなか国際大会に縁がない選手だが、高校時代は世代別の大会ながらも2年連続で結果を残している。

2012年の選抜から見ても、新2年生ながらプロ級のバットコントロールを見せていた。

監督を務める西谷浩一氏からみて、そのバットコントロールは「コーチ時代から含めると、大阪桐蔭で指導して20年になりますが、とらえる能力は間違いなく歴代ナンバーワンです」とコメントを残すほどだ。

▲強豪・大阪桐蔭のなかでもボールをとらえる能力は歴代ナンバーワン 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

また、大阪桐蔭といえば中村剛也や西岡剛、平田良介、中田翔などの野手を輩出しているが、それらの選手と比較しても森が上とコメントしている。

目視から見た森のすごさは、高校時代からプロ入り後の現在までほとんどフォームが変わらないまま、プロ野球選手のなかでもトップクラスの成績を残していることだ。

多くの選手は、プロ入り後にフォームをプロの仕様に変えるなどするが、森の場合は高校時代にはすでに完成していたと言っていいだろう。

大阪桐蔭の同僚が、森が打席に立ったあとの相手投手のボールに関する情報を共有されてもあてにならない、と発言するぐらい高校生離れした選球眼も兼ね備えていた。

その結果、プロ入り後を見ても1年目から2軍で打率.341、5本塁打、41打点と高卒1年目とは思えない成績を残した。