動物が好きなのは必須だけど人間力も大切

▲淡路ファームパーク イングランドの丘

―― ホームページを見るとさまざまなイベントを開催していますが、これらの企画はどのように決まるのですか?

後藤 各担当者からアイデアを集めて企画します。園としてとりあえずチャレンジするっていう姿勢なので、企画を却下することは少ないですね。いろいろと試してヒットしたものは、さらに発展させていく感じです。普段の雑談から決まることもあります。面白そうなアイデアや試してみたいことを気軽に相談し合ってます。

―― 今まで立てた企画で、とくに反響があったものはありますか?

後藤 やはり「飼育員への質問回答コーナー」をSNSに上げたのは、一番大きな反響がありました。狙ってバズらせようと思ってもできないので、自然体で取り組めたのがよかったと思っています。書籍化にもなりましたし、ありがたいことに第2弾まで出していただいて(笑)。

――9月に発売された 『もっとしりたい 飼育員さんのすごいこたえ』ですよね、読ませていただきました。コアラの似顔絵の書き方はとても面白かったです。本当にセンスを感じました。

後藤 ありがとうございます(笑)。

―― 動物と関わる仕事を希望する若い人が増えていますが、何かアドバイスはありますか?

後藤 専門学校や企業の説明会などで、学生の方々と話す機会があります。動物が好きということは大前提ですが、私が伝えているのは、動物と同じくらい人間も好きでないと、この仕事は務まらないということです。実際のところ、仕事の半分くらいは接客やお客さんとの対話が含まれます。なかには人付き合いが苦手なので……という方もいますが、そういった方には飼育員の仕事は難しいと感じるかもしれません。

もちろん、従業員同士のコミュニケーションも重要です。「連絡、相談、報告」は基本中の基本で、これが欠けると動物たちの健康に直接影響します。動物を好きであることはもちろんですが、基本的な社会人としてのスキルも必要です。

―― 最近、淡路島は観光地として注目されています。テレビ番組でも特集が組まれたり、多くの観光客が訪れていると思います。これからの後藤さんや淡路ファームパークの展望について教えていただけますか?

後藤 そうですね。観光地としての注目度が増してきていますが、淡路島には魅力的な場所が多いので、どうしたらお客さまに来てもらえるかは常に考えています。私たちの園の魅力は動物だけでなく、花や食事、手作り体験教室や収穫体験など、さまざまなアクティビティがあります。

これらの持ち味をもっとアピールして、訪れた方々に動物のことを深く知ってもらい、好きになって帰っていただけたらと。この基本的な姿勢は、今後も大事にしていきたいと考えています。

▲9月15日に発売された『もっとしりたい 飼育員さんのすごいこたえ』(小社刊より)

(取材:Sea The Stars) 


▲淡路ファームパーク・イングランドの丘
プロフィール
淡路ファームパーク イングランドの丘
兵庫県南あわじ市にある農業公園。イングランドの湖水地方をイメージしたテーマパークで、ふれあいを楽しめる動物園のほかに、広大な敷地の中で手作り体験、収穫体験、花の鑑賞などが楽しめ、淡路島グルメを堪能できるレストランも併設されている。動物園の一番人気はコアラ館。園内の質問箱に寄せられた「なぜ?」への飼育員さんのユーモアあふれる回答とイラストがX(旧Twitter)で話題となる。X(旧Twitter)=@englandhill_zoo