9年前の東日本大震災や、記憶に新しい昨年の台風19号などの自然災害。「地球がおかしい」と思ってしまう瞬間が増えているのは確かだ。私たちは「地球」というダイナミックな規模で「恐れ」を抱き、不安で心がいっぱいになる。そんな思考に変化をもたらすヒントを、東京大学名誉教授でもある矢作直樹先生が教えてくれた。

※本記事は、矢作直樹:著『「死」が怖くなくなる50の神思考』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

世界中で自然災害が拡がっている理由とは?

今、多くの人が地球がおかしくなっている」と感じているのではないでしょうか? たとえば地球の温暖化を例に考えてみましょう。

地球は何万年という単位で、温暖化と寒冷化を繰り返しています。今はCO2が増えたので、地球が温暖化しているといわれていますが、実は寒冷化しているという説もあるのです。たとえば、南極の氷は増えているそうです。

アメリカのトランプ大統領が温暖化対策に積極的でない理由も、CO2と温暖化に合理的な関係性がないからです。温暖化対策といって、それをビジネスにしている業界もあるでしょう。私も、原発より火力発電のほうがましだと思っていますし、温暖化対策が必ずしも地球のためになっているとは思えません。

▲地球のための温暖化対策だと思っても… イメージ:PIXTA

しかし、環境負荷を考えて、生活することは大切です。私は自転車を使って移動したり、東京↔広島でしたら、飛行機ではなく新幹線を選んでいます。みなさんもできる範囲でいいので、地球に迷惑がかからない生活を心がけたらいいと思います。

また、気温だけでなく、地面も少しずつ動いています。地震や火山活動から、それが感じ取れます。

いずれにしても、地球はダイナミックに生きていますので、周期をもって変化しているのは確かです。私たちはその地球の表面に住まわせていただいているにすぎません。ですから、

「なぜ、地震が頻発するの⁉」
「なぜ、台風が巨大化するの⁉」

と人間の目線で語ることは地球にとって失礼です。なんの断りもなく、勝手に住んでいるのは私たちのほうですから……。

ですから、自然に対する敬意や畏れ、そして何よりも感謝の気持ちを持つことはとても大切だと思います。たとえ、地震や台風によって、人間が被害にあったとしても、地球を責めたり恐れたりするのは違うのではないでしょうか。

心に恐れを持っていると、それが実現してしまう

地球はダイナミックに生きていると申し上げました。では、そのような地球に住んでいる私たちは、どのような心構えでいたらいいのでしょう。私はいつも「備え」をして「恐れ」を手放してくださいとアドバイスしています。当たり前のことのようですが、実は多くの皆さんがその反対のことをしています。

つまり「恐れ」ているだけで「備え」が疎かになっているのです。何をどう備えるかは、家族構成や状況によってさまざまですが、実は自分なりに備えると「あとはなんとかなる」と覚悟が定まるものだと思います。

たとえば、地震や台風には実際にどう向き合えばいいでしょうか?

実際に、家族が3日間過ごせるように備えれば、あとは共助(きょうじょ=ご近所)公助(こうじょ=自治体)の手が整ってきます。そのためにも、まずは自助(じじょ)がとても大切なのです。

▲まずは備えることが重要 イメージ:PIXTA

具体的に何を準備するかについては、消防庁のホームページなどに一般的な案内は載っていますし、面倒な方は、必要なものがいろいろ入った「非常袋」を買うこともできます。赤ちゃんがいればオムツも必要でしょうし、ペットを飼っている人はペットフードも備えがあったほうがいいでしょう。自分なりにアレンジする必要はあると思います。

ちなみに、私はいつもカバンの中に登山用のヘッドライトを入れています。電源が落ちても、明かりがあればとりあえず安全なところへ動くことはできます。このように準備することは想像力を使うのです。

まだ、来ない未来を心配する必要はないのですが「○○になったら、○○する」というシミュレーションは必要だと思います。私は自家用車を持っていませんが、もし持っていたら、運転席にカナヅチなど窓を割る道具を備えておくと思います。

さあ、準備が終わったら、もう心配するのは止めましょう。心に「恐れ」を持っていると、それが実現してしまうかもしれません。もし、日本国民が「地震がきたら怖い」と思っていると、その集合意識が現実を創ってしまいます。

かといって「何も起こらない」と思うのは謙虚さが足りません。先ほど述べたように、ダイナミックに生きている地球に対して、失礼です。そして「もし動くならば、穏やかな変化でお願いします」と祈ればよろしいのではないでしょうか。