前人未到の二刀流が貫く“勝利最優先”の契約スタイル
そんな大谷選手の勝利への熱き想い、実績、これまでの経緯を踏まえ、筆者が予想する契約パターンを2つ紹介します。
10年5.8億ドル(2年目オプトアウト)
1年目年俸4,000万ドル、2年目以降6,000万ドル
こちらは前回の記事の予想として挙げた12年6.6億ドル(平均年俸5,500万ドル)と大きく前提は変わらないものの、大きく以下の3点を加味したものとなります。
- 1年目の打者専属期間分の年俸調整(1,500万ドル減)
- 怪我懸念を踏まえ契約期間を短縮(2年減)
- 2年目終了時に二刀流の完全復活を遂げたもの、契約チームにて優勝を狙うのが難しいと判断したケースを踏まえオプトアウト条項を追加
チーム側としては大谷選手の怪我のリスクを組み込みつつ、大谷選手側にも柔軟性を与えるという双方のメリットが一番シンプルにまとまった契約ではないでしょうか。
3年1.5億ドル+7年4.2億ドル相互オプション
年俸5,000万ドル、オプション年俸6,000万ドル
もう少し頭の体操をしてみると、「短期契約+選手およびチーム相互合意のオプション」も一つの可能性として挙げられるのではと考えました。通常、大半の相互オプションは破棄をされるため、あまり意味のあるものに感じられないかもしれません。
というのも、「選手の市場価値>オプション契約額」となった場合は選手側で破棄、「選手の市場価値<オプション契約額」となった場合はチーム側で破棄することが多く、「選手の市場価値=オプション契約額」になることが稀であり、破棄が既定路線であることが多いためです(むしろオプションの破棄がありきで、破棄金額を見込んでの設定が多くなっています)。
しかしここまで書いてきたとおり、大谷選手は「契約金額の最大化」より「勝利へのこだわり」が強い稀有な存在。チーム側からすると余程成績が劣化しない限り、大谷選手の青天井な市場価値が契約額を下回ることは想定し難いので、「大谷選手がチームに残りたい」という判断さえあれば相互行使が見込めるのではないでしょうか。純粋に「3年後にこの関係を続けたいか」という意志の確かめ合いとして妥当な設定だと考えます。
なお筆者が「大谷選手の市場価値が落ちない」と自信を持って断言できるのは、突き抜けたスター性の高さにより見込めるマーケティング力・興行収入・グッズ売り上げがチームからしたら貴重すぎる、と若干浅はかに考えているからです。これらすべてを具体的な金額に定量化をしたデータはないので、あくまでも感覚論にはなってしまいますが、少なくとも7年で5億ドルは割安の可能性が高いのではと推測します(実際、今季のMLB全体で大谷選手のユニフォームの売り上げは1位です)。
「ドジャースと契約」の定番予想を揺るがす古豪の存在
さて、ここまであえて移籍候補先の具体的な名前を出していませんでしたが、前述の条件である「相応な資金力」「常勝の体制確立済」「起用法で柔軟性が効く」の3つをクリアできそうチームを考えると、筆者がたどり着いた結論はただひとつ。
ナショナル・リーグの古豪、アトランタ・ブレーブス!
ブレーブスは高年俸の契約に応じない傾向こそありますので、「大谷選手のような逸材には思い切って対応するだろう」という勝手な思い込みを前提のうえで申し上げますが、まず資金面はチーム総年俸がリーグ8位と申し分なし。しかも今季はリーグ全体でぶっちぎりの戦力を有しており、強力な若手を割安な契約で長期保有をしているため、今後も常勝が見込まれています。
大谷選手にどこまで起用の裁量を渡す意思があるかは不明であるものの、主力の休養頻度が他チーム対比で低く(マット・オルソン一塁手は全試合出場、オースティン・ライリー選手とロナルド・アクーニャ選手はそれぞれ3試合のみ欠場など)、大谷選手の高稼働理論と相性が良い兆しも感じます。
多くの記事でも取り上げられているとおり、筆頭候補はロサンゼルス・ドジャースとされています。彼らもそれに相応しい資金力や戦力を持っているものの、個人的にはブレーブスが誇る圧巻の暴力打線の中核を担う打者・大谷選手、エースとして盤石なローテーションを率いる投手・大谷選手を見てみたいと思うばかりです。
さあ、果たして大谷選手はどこのチームを選び、どのような契約を締結するか。二刀流の完全復活は見られるのか。再び野球の歴史を変えてみせるのか。あと数ヶ月ですべてが明らかになります! 史上最も注目されるフリーエージェント、いざ始動!