カッコつけないところがカッコいい
――巻末には、山里さんと若林さん、それぞれとの対談が掲載されています。まずは若林さんとの対談はいかがでしたか?
安島 若林くんとはずっと喋ってきているので、対談でもそれをまんまやった感じです。自分の中でいろんなことを考えて、そのなかに答えや要素を持っている人だから、それを僕に当ててもらって、時々「あなたが言ってるこれが、その答えじゃないでしょうか」と返す……ということをやった感じですね。
――山里さんとのやりとりも印象的でした。冒頭に「若ちゃんとは深い話をしたらしいじゃない」と先制パンチがありましたよね。
安島 対談に入る前のウオーミングアップみたいな部分だけど、“残したいな”と思ったんですよね。ああいう感じなんですよ。あの人(笑)。
――最高だと思います(笑)。
安島 何度か「それ、エンターテインメントでやってない?」「期待されている山里亮太やってるでしょ?」と聞いたことがあるんですけど、彼は「マジで浮かんじゃうからしょうがない」って言うんです。「言っていい場だから言うだけ」というスタンスでいるし、ずっとそういうことを考えている人なんですよね。それが伝わったらいいなと思いました。
――改めて、山里さんと若林さんの人間として、芸人として、魅力的なところを教えてください。
安島 ベースに「尊敬できる」という考えがあるから(2人と関係性が)続いていると思うんです。結局、山ちゃんも若林くんも、僕の言ってることを聞いてるようで全然聞かない(笑)。シンプルに意思が強いんですよ。ただ、いろいろ迷ったり、立ち止まったりすることもある。
そのさまを作品やいろんなものに昇華するところが、尊敬できるところで。やっぱり年を取ったらどんどんカッコつけちゃうんですけど、2人はカッコつけないところが、カッコいいなって思います。
バナナマン、おぎやはぎ、ラーメンズ(安島氏が立ち上げた伝説のユニット「君の席」の3組)など、本にも書かせていただいた人たちもそうですが、そういう人たちと仕事をするのが好きだし、そういう人たちとは、仕事から離れても話を聞きたいなと思うんですよね。
(取材:浜瀬将樹)
〇『でも、たりなくてよかった たりないテレビ局員と人気芸人のお笑い25年゛もがき史″』