今年5月に開催された、結成16年以上の芸人による漫才コンテスト『THE SECOND』。この大会で準優勝を果たしたお笑いコンビ、マシンガンズのツッコミ担当である西堀亮が、初となる著書『芸人という病』(双葉社)を9月に発表した。

この本には、土木作業を続けながら芸人を続ける男、定期的に無観客単独ライブを開催する芸人など、常識では測れない範疇で芸人という仕事に固執する芸人たちが、西堀の視点で描かれている。

ニュースクランチでのインタビューでは、YouTubeの個人チャンネル『西堀ウォーカーチャンネル』について、西堀が考える「芸人」と「幸せ」について、さらにTHE SECONDの振り返りなど、多角的に“芸人という病”について聞いてみた。

▲西堀亮(マシンガンズ)【WANI BOOKS-NewsCrunch-Interview】

手を差し伸べてくれる有吉弘行への感謝

――個人的に『THE SECOND』よりも、もっと前からマシンガンズさんのことを好きで、月笑〔太田プロが毎月開催しているお笑いライブ〕にも行ってました。もちろんYouTubeの『西堀ウォーカーチャンネル』も見ていて、この『芸人という病』もYouTubeがきっかけになったとお聞きしたのですが、執筆の経緯をお聞かせください。

西堀 月笑! それは本当にお好きなんですね(笑)。たしかに、この本は『西堀ウォーカーチャンネル』がきっかけです。あの動画がわりと多くの方に見られるようになったタイミングで、もともと知り合いだった双葉社の編集者の方に「本にしませんか?」と声をかけてもらった感じです。

――じゃあ、『THE SECOND』の前ですか?

西堀 そうですそうです。SECOND前ですね、だから双葉社、思い切ったなあって(笑)。それまでも何回かお仕事させていただいてたんですけど、最終的にはマシンガンズのファンってことでお話いただいたので、ありがたかったし、いいタイミングで出版できたかなと思ってます。

――そもそも、このチャンネルで芸人さんにフィーチャーしようと思ったのは、何か意図があったんでしょうか? 話し相手が欲しかったとか。

西堀 いやね、よく考えたら平日の昼間に一緒に歩いていくれるヤツなんて、芸人くらいしかいないんですよ(笑)。だって、普通の人は働いてますから。

――あはははは!(笑)

西堀 周り見渡しても、暇なヤツが芸人しかいなかったんですよ。そこに今いますけど、和賀(勇介)しかいなかったんで。

※和賀勇介:2001年2月 太田プロよりトップリードとしてデビュー。2018年2月 ピン芸人として活動スタート

――和賀さんがいる! と、さっきからドキドキしてました(笑)。

和賀 どうも~。

――個人的には和賀さんも、和賀さんの前のコンビも好きだったんで……。

和賀 それはそれは……残念でしたね。

――(笑)。なので、西堀さんのチャンネルで和賀さんの面白さにフォーカスが当たって、本当にうれしかったです。この本にも書かれてますけど、タワマンを見て「俺には関係ねえや!」って言ったりとか。

西堀 あれ面白いですよねえ(笑)。やっぱり歩くといっても、僕と和賀が、地位も名誉も金もない二人なので、どうしても普通の散歩にはならないんですよね。

――この本で西堀さんが何か能動的に動こうとしたことを、有吉さんが喜んでくれているように感じたってのがすごくうれしくて。マシンガンズはずっと面白いし、滝沢さんのゴミ収集も素晴らしいんですけど、もっと多くの人がマシンガンズを知るべきだと思ってました。

西堀 ありがとうございます、そんな熱く(笑)。たしかに、有吉さんは恥をかいてでも何か新しいことにトライすることを喜んでくれるし、僕に限らず、自分で何かを始めることを応援してくれるんですよね。

チャンネル登録者数が1000人もいかない頃に、サンドリ(有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER)で「登録者数、少ないんだろ?」ってイジってくださって。「じゃあ出てやろうか」って本当に出てくださって。あれでもう登録者数がガッと伸びましたし、頑張ろうとしてる人には手を差し伸べてくれるタイプですね、まあ言葉はキツいときありますけどね(笑)。

――この本には、先輩であるブラックパイナーSOSの内藤さん、山野さんという先輩も登場しますよね。どのように選んだのですか?

西堀 まず、現在過去含めて、きちんと芸人だったという経歴があるということですね。例えば、もっと貧乏とか、もっと苦しいとかだけで選んだら、芸人ちょっとかじっただけって人もありになっちゃう。ラインとしては“芸人としてきちんと活動した”ことがある。それだけですね。

――読んでいて思ったのは、西堀さんが本当にお笑いが好きなんだろうなということです。売れてない、お金がない、という芸人を取り上げるのは、一歩間違えるとバカにしてるように見えちゃう危険性がありますよね。でも、西堀さんは相手に対して敬意があるというか、ベタベタ寄り添ってもないし、突き放してもいないから、この空気感が出るのかなと思いました。

西堀 そういうふうに見ていただけるのは、すごくうれしいしありがたいんですけど、僕もこの本に出てくる芸人と同じだと思ってるんですよ。認められない、仕事がないって煽ってますけど、僕自身まだまだこっち側だと思っていて。ありがたいことに、SECONDで準優勝になって、露出が増えましたけど、今もそういう思いではありますね。本当、インタビューというよりか、和賀も松崎も一緒に喫茶店に行って喋ってる感覚なんです。