野手は要所では実績組、勢いは若手組がつける活躍

打線に関しては、まず実績組がチームを引っ張る活躍。

特に、この大会では昨年にブレイクした万波中正(日本ハム)や、今シーズンルーキーながらも攻守で活躍を見せた門脇誠(巨人)が、大会を通してチームに勢いをつける活躍を見せた。

万波に関しては、決勝戦以外は全試合で打点を挙げており、決勝では長短打を含む3安打を記録。

さらに、守備でもフェンス際の難しい打球を捕球したことや、好返球を見せるなど、怪我などのアクシデントがなければ来年のプレミア12のメンバー入りが当確と言ってもいい活躍を見せた。

門脇に関しても、初戦から全試合でヒットを記録しており、決勝では優勝を決めるサヨナラタイムリーを放ち、大会MVPに輝くなど大車輪の活躍。

シーズンの成績を見ても、後半戦は打率.320を記録し、試合終盤の打率は7回以降は.404、9回以降は.588を記録しており、定評のあった守備はもちろん、打撃に関しても大きく成長した一年だったのは間違いない。

シーズンからこの大会を見ても、二塁手や三塁手、遊撃手を高い水準で守れる球界トップクラスの守備はもちろんのこと、勝負強さを兼ね備えた打撃は来シーズン以降も期待できる内容と結果だった。

この門脇も、万波と同様に順調な活躍を見せれば、複数ポジションを守れるユーティリティ性もあるので、プレミア12に選ばれるべき選手だろう。

現在は、遊撃手は源田壮亮(西武)などがいることから、まずは守備走塁のスーパーサブとして期待していきたい。

実績組は、大会序盤は苦しんでいた牧秀悟(横浜DeNA)が、決勝の2点ビハインドの場面で反撃の狼煙となるソロホームランを放ち、球場の雰囲気を一気に変えた。

▲春先のWBCでも活躍した牧秀悟選手 写真:CTK Photo / アフロ

さらに、佐藤輝明(阪神)は同点となる犠牲フライを記録。

この両選手は、シーズンの疲れなどもあったなかで、要所で打点をあげるなどの活躍を見せた。

これらの選手は、この大会では苦しんだが実績を考えると、来年のプレミア12に選ばれる可能性は高いとみている。

今大会は、24歳以下または入団3年目以内という制限があったなかで、二連覇を成し遂げたが、実績を残した選手が不在だったことによる不安定な部分も見受けられた。

来年のプレミア12では、国内組のベストメンバーを揃えて、こちらも二連覇達成に期待していきたい。


プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
野球著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)や『東京五輪2020 「侍ジャパン」で振り返る奇跡の大会』『坂本勇人論』(いずれもインプレスICE新書)、『アンチデータベースボール』(カンゼン)を出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディア取材多数。最新作は『戦略で読む高校野球』(集英社新書)、『21世紀プロ野球戦術大全』(イースト・プレス)。X(旧Twitter):@godziki_55