12月公開の映画『ブルーを笑えるその日まで』で、主人公のアン(安藤絢子)を演じる渡邉心結(みゆ)。スターダストプロモーション主催の第1回『スター☆オーディション』女子部門でグランプリを受賞しデビュー。その後は多数のドラマ、映画に出演し、ドラマ『二月の勝者』では連続ドラマ初のレギュラー出演を果たすなど、実力派女優への道を一歩一歩辿っている。

そんな彼女が今回演じるのは、学校に馴染めずひとりぼっちの中学生・アン。10代の不安や苦しみを描いた作品で、武田かりん監督と一緒にアンを作り上げていった撮影だったという。今作で初主演を務めた彼女に、演じた役柄や、彼女自身について話を聞いた。

 

自分は演じることが好きなんだなって

――渡邉さん初主演の映画『ブルーを笑えるその日まで』が公開されますが、オーディションでアン(安藤絢子)役を勝ち取ったときはいかかでしたか。

渡邉 オーディションは一昨年、中学2年生のときに受けたんですけど、そのときはすごく楽しくて自分を出し切った感じがあったので、“結構いいかも!”って自信があったんです。なので、“合格だよ”って電話で伝えられたときはすごくうれしかったです! 撮影は去年の8月からだったので、合格から撮影に入るまでの1年間は役に入るために台本を何回も読んだり、いろいろ観察したりとかしてました。

――観察というのは?

渡邉 私が演じているアンは喋ることが苦手な中学生なんですけど、苦手なりの声の出し方をYouTubeで調べて練習したりしました。

――今はYouTubeの動画も参考になる時代! 台本を初めて読んだときの第一印象は?

渡邉 第一印象は、アンが自分とは真逆の性格なので“あ、大変そうだな”って思いました。役についてはオーディションのときから、ある程度わかっていたんですけど、台本を読めば読むほど自分とは真逆で(笑)。撮影中は笑うのを控えたり表情も気をつけたりと、少し大変でした。

――渡邉さんが演じたアンはどんな女の子ですか。

渡邉 アンは中学2年生で、自分の気持ちを伝えるのが苦手な子でして、家族に自分とは真逆の明るい性格のお姉ちゃんがいて、そんなお姉ちゃんを見て“あ、自分ダメなんだな”ってネガティブに考えて、コンプレックスを抱えちゃうような子なんです。

――喋ることが苦手、というのは?

渡邉 クラスの子に仲間外れにされて、喋るのが怖くなって上手に自分の気持ちを言葉にできないんです。話すときも“あ、……”みたいな。私はうるさいほうなので(笑)、いつもの自分が出ないように、切り替えはすごい意識してました。声の大きさだったり、目の動かし方、表情、立ち方とか、全部意識してスイッチを切り替えて演じていました。

――難しそう。

渡邉 読み合わせが結構あったり、もう1人の主演の角心菜(すみここな)さんとビデオ通話で練習をしていたので切り替えられました。

――なるほど。今作は監督である武田かりんさん自身の体験をモチーフにしていますが、監督から演技上のアドバイスはありましたか。

渡邉 ありました。監督と一緒にアンを作っていく感じで、何回も何回も話し合って、納得いくまで撮影しました。制作期間中ずっと話し合っていました。

――動きとかに関しても細かく指示してくださった?

渡邉 基本的には私自身で細かい部分は考えて、そのうえで“じゃあ、ここはもうちょっとこうしてほしい”みたいな。あとは、“ここのシーンはこういう感じだよ”っていうように、シーンのイメージを共有したりしました。

――地道な作業ですね。

渡邉 そうですね。でも、だんだんとアンが形になっていくのは楽しかったですし、自分は演じることが好きなんだなって改めて思いました。