「Unfair」を絶対に許さないアメリカ

トランプ氏はまた、大阪でのG20首脳会議中、「ロシア疑惑」で関係が冷え込むウラジーミル・プーチン大統領に「選挙に介入するな」と言いました。

記者殺害事件への関与が指摘されるサウジアラビアのムハンマド皇太子とは、中東地域での協力を確認しました。まさに、「Hold Your Nose」なのでしょう。

ロシアプーチンと会談するサウジアラビアのムハンマド皇太子(2015年6月18日) [出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons) Kremlin.ru, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=41047515による]

トランプ氏の外交には、複数の側近も大きな役割を果たしています。マイク・ポンペオ米国務長官や、ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は遠慮せずに意見を言うそうです。トランプ氏はまた、保守系ジャーナリストや、安倍晋三首相にも意見を求めます。

 「トランプ流」はメディアに批判されています。しかし、トランプ氏自身も「メディアは国民の敵」と毛嫌いしています。新しい手法は確かに混乱を生みますが、よどんだ水をかき回して酸素を送り込むようなもので、沈滞していた国際社会の新陳代謝を促すことになったのは間違いないことです。

トランプ氏は常に「アメリカファースト」で動いています。つまり、自国の国益を順位の最優先においています。グローバリゼーションの風潮の中で、「Unfair(不公平)」で自国に不利益な状態を絶対に許したくないのです。

例えば、アメリカがパリ協定を離脱した大きな理由の一つは、公害原因をいちばん排出している中国が発展途上国扱いになっているのが「Unfair」だからです。これは明言されていることです。

トランプ氏の影響かどうかはわかりませんが、日本政府も次第に国益を主張するようになってきました。

日本政府は令和元年(2019)7月4日をもって、半導体製造に不可欠な3品目の対韓輸出管理を強化しました。「反日」暴挙を続けてきた韓国にやっと発動する、事実上の制裁といえるでしょう。これもまた、トランプ氏の独自外交が世界の新陳代謝を高めた結果だといえるでしょう。