菅谷家の長い夜

すみません、書き出しからサッカー関係ない話をします。

この1週間は大変でした。というか、現在進行形で菅谷家はエマージェンシーです。

娘が先週から続く下痢によって保育園を休み、妻と分担して家で面倒を見る。そんななかで、妻が娘からもらってしまったのか、胃痛でダウン。やっと復活した妻に、こちらも回復してニコニコ元気はつらつな娘を見てもらい、すでに締め切りを過ぎているこのコラムを書き始めた矢先でした。

深夜2時、娘1歳5ヶ月、嘔吐。その後、1時間で3回の嘔吐。

夫婦で身の回りの支度や病院への電話を分担し、夜間の緊急病棟に若手芸人が使い慣れないタクシー配車アプリをダウンロードして直行。

娘が嘔吐すること10回以上、僕がやっと寝られたのが朝6時ごろ。

やっと覚えた「おちゃ、おちゃ」という言葉で、喉が渇いたことをアピールする娘に、お医者さんの指示通り、嘔吐が治るまで飲み物を与えてはいけない……というのは、とても心苦しく、娘の「せっかくおぼえたことばが、なんでつたわらないんだ!」という可哀想な表情に心身とも疲労しました。菅谷家の一番長い夜。

レッドカードを提示されてもフル出場!?

というわけで今日は、仕事に向かう電車の中で秒殺で書ける、僕の高校時代に起こったサッカー界を揺るがす大事件

『長内レッドカード事件』

について書こうと思います。地元の集まりで毎回この話をするので“秒殺で書ける”だけで、ちゃんと面白いのでご安心を。(自分でハードルを上げていくスタイル)

長内というのは、うちの高校サッカー部の10番。

小学校から区の選抜で一緒にプレーをしていました。長内は運動神経やサッカーセンスはあるけど、努力ができなくて、キレやすいという意味でメンタルが弱いヤツでした。

そんな長内が、ある日のリーグ戦で、自分をファールで倒した相手選手を笛が鳴ったあとに背後から蹴る、という報復行為でレッドカードを提示され、退場。

リーグ戦というのは、地域のチームでお互いの強化を目的にやっている準公式戦。審判はOBのコーチや控え部員がやりますが、その結果はネットや地元のサッカーショップに掲示されるようなくらい、練習試合よりはしっかりとしたものという感じでした。

そういう、ある種ちゃんとした記録が残る試合なので、審判をしていたOBコーチは、迷わず長内にレッドカードを提示してピッチの外に追い出しました。

そして、退場した長内を待っていたのは、憤怒の化身と化しためちゃくちゃ怖い監督でした。

監督は長内をそれはそれは鬼の形相で叱りつけます。長内が全面的に悪いけど、めちゃくちゃ怖かったです。(ちなみに長内が完全に悪いので、長内の親からも「叱ってくれてありがとうございます」というふうに、監督にお礼を言う感じでした)

しかし、その響き渡る怒声は恐ろしく、ベンチにいる僕たち、グラウンドで試合をしている選手、審判のOBコーチ……まわりにいた全員が目を背けながら試合は続行されます。

激怒もひと段落したかと思うと、監督が

「反省したか!? ぁ"あ"!?」

と、2択みたいな実質1択を出し、長内が「はい」と答えると

「反省したんだな!! じゃあ行ってこい!! おらぁ!!」

と長内をピッチに投げ込み、審判のOBコーチ含め、敵味方全員が何も言えなかったため、その日、長内はサッカー史上初のレッドカードをもらったのにフル出場しました。(試合の記録がどのようにつけられたのかは不明です)

これが、僕のサッカー人生で最も面白かった事件『長内レッドカード事件』です。あってはならない競技規則の運用ミスなのですが、めちゃくちゃ面白かったです。

▲レッドカードを受けた後も試合に出続けた イメージ: wavebreakmedia / PIXTA

……すみません。いつもより短いのですが、いつもは提案していただいた文字数を常にはみ出して書いているので短く見える、という側面もあると思います。今日はこれくらいでご容赦くださいませ。

そして皆さん、風邪が流行っていますのでご自愛ください。

次回の『カカロニ・すがやの“熱”Football Watch!』は、12月25日(月)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
 
カカロニ・すがや
1991年3月5日生まれ。O型。東京都出身。2016年、現在の相方である栗谷とカカロニを結成。グレープカンパニー所属のお笑いコンビとして活動中。趣味はサッカー(サッカー歴15年・ブラジル・ロシア・カタールW杯を現地観戦)、深夜ラジオ(元ハガキ職人)。特技はサッカーとくりぃむしちゅー上田さんの例えツッコミを暗記すること。Twitter:@sugayazinho instagram:sugayazinho