「安倍=トランプ」だからこそやれることとはなにか? そして「性善説」が好きな日本人が「情報弱者」と呼ばれないためには? 物事の本質を捉え「情報に強くなる」ということの重要さを、テレビなどでも活躍中のケント・ギルバート氏が「令和」時代の変化への期待を込めて現代日本人に説く。

※本記事は、2019年9月に刊行されたケント・ギルバート:著『世界は強い日本を望んでいる』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

トランプは利権や賄賂からは最も遠い大統領

トランプ大統領が誕生したとき、「政治経験のないビジネスマンの彼に、合衆国大統領という世界一の重責が務まるのか」という疑問がありました。これはリベラル派だけでなく、保守派の支持者の間にも存在していました。

彼が大統領に選ばれたのは、ある意味、アメリカ国民による「一か八か」の賭けだったのかもしれません。それほどアメリカ国民には、逼迫感があったといってよいでしょう。もっとも、その心配も、いい意味で「杞憂」に終わったといえるのではないでしょうか。

▲ホワイトハウス イメージ:PIXTA

トランプ氏はそれまでの共和党の中心線からも、もちろん民主党の中心線からも大きく外れた場所から登場した大統領です。それだけに、余計なしがらみもなく、思い切った政策提案や発言ができるのです。

何よりも資産家ですから、利権や賄賂からは最も遠い人といえます。クリントン夫妻のようにチャイナ・マネーやロシア・マネーに汚染される心配もないのです。

ちなみにトランプ氏は公約通り、大統領の給与を受け取っていません。完全な無給はNGという法律があるので、年収1ドルは受け取らざるを得ないようですが。文字通り公僕としてアメリカ国民のために働いています。

もしかしたら策士かもしれない安倍首相

トランプ大統領だからこそ、覇権主義を展開してきた中国の徹底的な封じ込めができています。特に中国のウイグル人迫害について言及し、これを非難したことは大きいです。国際世論は「人権」という言葉には耳を貸したがります。これを機会に、ウイグルやチベットの受けている弾圧の実態が、もっと世界に知られてほしいものです。

アメリカは中国共産党の掲げる「一つの中国」というスローガンに、疑問を投げかけました。

2019年6月に発表された米国防総省の「インド太平洋戦略報告書」では、1979年の中国との国交正常化以降、国家と認定していなかった台湾を、協力すべき対象「国家(country)」と表記しました。台湾との連携を深めたい安倍政権にとっても、これは朗報ではないでしょうか。

▲アメリカが連携を開始した台湾の蔡英文総統 出典:Wikimedia Commons

案外、トランプ氏のこうした動きには、安倍首相のアドバイスがあったのかもしれません。日本一国ではできないことを、アメリカを動かして道を切り開く。これを戦略的にやっているのだとしたら、安倍首相はなかなかの策士です。 

米日台の実質的な軍事同盟、沖縄の米軍基地の一部の台湾への移転、あるいは日台の国交樹立という離れ業も、もしかしたら近いうちに見ることができるかもしれません。それをやる勇気がある政治家は、安倍さんしかいないでしょう。

「安倍=トランプ時代」に決めておくべきこと、やるべきこと、「安倍=トランプ」だからこそやれることは、たくさんあるはずです。