上田&久保の途中出場コンビが試合を決めた
そして後半戦へ。1点ビハインドのベトナムですが、ゆっくり後方でつなぎます。日本はハーフタイムに修正を施し、前半よりよくなっていたので、前に運べなかったという見方もできますが、僕には負けているベトナムのほうが、この点差のまま時間が過ぎるのを待っていたように見えました。
無理に前から奪いに来ない日本相手に、1点差のまま時間を使い、ラスト5~10分で一撃入れて反撃の時間を残さず引き分けに持ち込む。そんな狙い。
しかし、そんな狙いを粉砕したのは途中出場の久保建英選手。見事なトラップからのパスで、上田綺世選手の得点をアシスト。このゴールでベトナムは、ついに詰んだように見えました。そのまま4対2で試合終了。初戦を苦しみながらも勝利で飾りました。
〇【日本×ベトナム|ハイライト】日本が逆転で白星発進!南野拓実、中村敬斗、上田綺世がゴール!|AFCアジアカップ
この一戦でもわかるように、アジアカップの面白いところは、前回大会から通じて、相手が『対日本戦略』を練ってくるところ。
徹底して引いて守るチームや縦に早いチームなど、普段とやり方を変えてくるため、日本は事前のスカウティングが意味をなさず、試合のなかで相手を見ての修正が要求されます。
前回大会でも、試合中の選手たちによる判断で修正しながら勝ち上がり、決勝のカタール戦は日本の修正よりも早く、相手が形やボールの運び方を変更したことで、ついに日本の対応力が追いつかなくなったことが敗因になりました。
森保一監督は一貫して、選手のピッチ上の判断を尊重しました。
この経験は、ワールドカップでのドイツ戦やスペイン戦に大いに生きたと僕は思っています。現にドイツ戦は、後半から布陣の変化で流れを変えました。
スペイン戦の戦術は、鎌田大地選手が当時所属していたフランクフルトがバルセロナと戦ったときのやり方を、鎌田選手にヒアリングしながら踏襲したと聞いています。
そんな森保政権の6年目、今大会では前回の経験を踏まえて、より成長した姿で今度こそアジアを制してくれるのか。
また、チーム全体でより修正力を磨き上げて、次回のワールドカップに生かしてくれるのか、そんなところを楽しみにしながら見ています。
次回のワールドカップは出場国が増えて、日本相手に守備を固めてくる国との対戦も必ずありますから。全てはそこで勝ち上がり、世界一になるために!!
そしてそれを完遂することこそが、ヨーロッパのトップリーグで活躍している選手を、所属リーグよりレベルが落ちるアジアカップに連れてくる意義になると思っています。
あぁ……カタール行きたくなってきたな。安いインド料理屋のビリヤニも、ちょっとお高いアラブ料理屋のラムチョップも美味しいんだよなぁ……。