視聴者の方にがっかりしてほしくない

――今年1月に発売された『超ハイレベルでヤバすぎるまちがいさがし』(小社刊)も、こだわりが詰まっているんですよね。

きいた:最初、出版社の方から「知育本」というテーマをいただいて、新しいバンカラジオの面白さが生み出せるんじゃないかなと思って「やりましょう」となりました。

やねすけ:僕らは動画で表現しているので、イラストで僕らの動画の世界観が表現できるならいいなというのと、知育本というと小学校低学年以下のお子さんが読むものなので、親御さんも一緒になって楽しめるような作りにしたいと思いました。

――お二人からアイデアや要望などは出したんですか?

きいた:ストーリーの部分は僕らでしっかり考えたい、ということは話しましたね。やはり、いつもバンカラジオを見ている視聴者の方にがっかりしてほしくない、というのはあったので、そこはこだわらせてもらいました。

――視聴者の方も楽しめつつ、初めて見る方にもわかりやすいように、きちんと冒頭に“やねすけ”と“きいこ”のキャラ設定が説明してありましたね。

やねすけ:天才小学生の“やねすけ”と最恐の母“きいこ”で、この本の世界感を任せていただいたので、そこは初めて見る方にもきちんとわかりやすく。この本をきっかけに動画を見てもらえたらうれしいな、という気持ちも込めて作らせていただきました。

きいた:ただ……本当に難しいんですよね。自分で読んでみて驚いたところはそこです。“すごく難しいじゃん!”って思いました(笑)。なので、本当に親御さんもお子さんと一緒にワイワイ楽しめると思います。

▲バンカラジオ内の名物キャラクター、最恐の母「きいこ」

活動休止を経験してパワーアップした

――この本の企画が動き出したのが2~3年前とお聞きしたんですが、ここまで時間がかかったのは、こだわり以外にもいろいろあったのでしょうか?

きいた:そうですね。ありがたいことに、バンカラジオが軌道に乗って、この本のお話も来て……そんななかで後発の動画チャンネルで「これ、俺たちのアイデアそのままやってない?」みたいなものも生まれて(笑)。

周りから見たら順風満帆だったかもしれないんですけど、個人的にはこのままだと、後発のチャンネルにもすぐ追い抜かれちゃうんじゃないかって、僕自身もっと勉強したかったし、もっと上に行くための種まきもしたかったんですけど、動画作成に追われて……ちょっと精神的に参ってしまったんで、一旦中断させてもらって。そのタイミングで留学もさせてもらったんです。

――留学されてたんですね。

きいた:はい。目標として日本代表になりたいという想いがあって、英語と映像の勉強をしにニューヨークに行かせてもらいました。その帰ってきたタイミングで、ありがたいことに本の企画がまだ生きていたんで「ぜひ、やらせてください」という感じでした。

――やねすけさんは待っている期間、どんな気持ちだったんですか?

やねすけ:不安はなかったんですね。そのタイミングで高校の同級生がバンカラジオに加入してくれたり、手伝ってくれてたメンバーが正式にチームに入ってくれるようになって、裏方の仕事もやってくれるようになったので、きいたが戻ってくるまでにチームとしてもっと底上げして、そこにインプットした彼が戻ってきたら、もっとすごくなるんじゃない?って。

きいた:ありがたかったです。

――友情というと安っぽいですけど、お二人の絆みたいなものを感じました。YouTuberというのは「好きなことを仕事にしている」という言葉の象徴のように思います、人気YouTuberのお二人から見て、「好きなことを仕事にする」という言葉にはどういう印象をお持ちですか?

やねすけ:僕らは、もともと好きなことを仕事にしたいというよりか、好きなことをやり続けていたら仕事になった、が正しいですかね。もちろん、そういう目標を持つこともいいと思うんですが、逆を言うと、僕はつまらないことを我慢して仕事をする、という感覚が理解できないんです。好きなことを仕事にしている人が羨ましいのであれば、そのように動けばいいと思うし。

でも、世の中の大半の人が“仕事めんどくせー”と思ってるのはわかります。僕らみたいな仕事を“楽”と思ってるのもわかるんですけど、そう見えているからこそ、人を惹きつけるんだろうとも思います。YouTuberと言われる人たちは、そういう考えの方が多いんじゃないでしょうか。

きいた:僕は“好きなもの”イコール才能だと思ってます。最初の僕の夢は、世界中どこにいてもできる仕事だったんです。だから、大学1年からプログラミングの仕事を始めたんですが、そこでは本当にプログラミングが好きで、プログラマーを目指す人たちにどうやっても勝てない。

いろいろ試行錯誤したことで、自分の中でYouTubeが本当に好きなもので、それがうまくハマった。この6年間、一度も飽きることなくできています。だから、本当に好きなことを仕事にしたいという人がいれば、それを一度試してみて、それが本当に好きだったらうまくいくと思います。

――では最後に、今後の目標をお聞きできますか?

きいた:バンカラジオの目標は世界一で、それを成し遂げられると思ってるんです。でも、まずは日本一になること。世界中の人に楽しんでもらえるような動画作りや、英語の吹き替えにも挑戦していて、直近の目標は海外の人が楽しんでくれることですね。最終的には、ド派手にYouTubeの歴史に残るような、この時代を作ったのはバンカラジオだってくらいになりたいですね。

やねすけ:もうすぐ100万人なんですが、国内だとそこまで珍しくないですよね。もちろん、登録者数が増えるのも、世界中の方々に楽しんでもらえるのも大事なのですが、1つの動画でどれだけ人に影響を与えられるか、投稿した1か月後には忘れられているような動画じゃなくて、バンカラジオの動画を見て、5年後、10年後に影響を受けた子どもたちが出てきてほしい。100万人の登録者がいるコメディYouTuberということには胸を張りつつも、数に囚われることなく活動していきたいです。


プロフィール
▲きいた / やねすけ
バンカラジオ
きいた
生年月日:1998年1月17日
出身地:千葉県松戸市
特技:バスケ / 英語(英検準一級)
趣味:瞑想 / 神社仏閣巡り / Fortnite
X(旧Twitter):@Kiita_ma

やねすけ
生年月日:1997年11月17日
出身地:神奈川県横浜市
血液型:A型
特技・にらめっこ(全戦全勝) / 明晰夢
趣味:読書 / 美術館巡り / 一人観覧車
X(旧Twitter):@YN_suke