筑波大・世代別代表のアディショナルタイムの一撃!
しかし、さすがはゼルビアというべきか。下位カテゴリーが相手にも関わらず、周到に用意したデザインされたコーナーキックで先制。
ゼルビアが勝ち続ける所以というか、黒田監督が青森山田高校時代に青森県内395連勝を達成した所以というか、本当に抜け目がなさすぎる。
一方で、得点を記録した安井拓也選手が負傷退場。このシーンは映像で見れましたが、筑波の選手に悪意はなく、ギリギリの勝負でのアクシデントという感じでした。
それでも重症であることが感じられる様子、タンカで運ばれていく安井選手を見る筑波応援団には、どのJリーグチームのそれよりも重く、苦々しく、自分たちもプレーヤーであるからこそ「怪我人を見るのはツラい」という沈黙がありました。
前半にアクシデントで2枚の交代枠を使った町田に対し、後半は筑波が前に出る展開。
特に途中出場の10番・角昴志郎選手がキレキレ。エース格を途中から出せる層の厚さと90分・120分を見据えたマネジメントはさすがです。
楽しすぎる。僕もJリーグチャントオールスターのような筑波大応援歌を、ビールを飲みながら共に歌っています。
それでも町田は筑波の攻撃をしっかりと受け切り、筑波はボールを握れている時間の割には決定機が多くない印象でした。
しかし、町田が交代枠を使い切ってからの負傷で、10人となっていた後半アディショナルタイムに試合は再び動きます。
途中出場の小林俊瑛選手の落としから、世代別代表にも名を連ねるエース・内野航太郎選手の鮮やかなダイレクトミドルがゴールに突き刺さります! スター性◎かよ!! ここぞで決める千両役者!!
アシストの小林選手の名前には見覚えがあったんですが、松木玖生選手(現FC東京)擁する史上最強の呼び声高い青森山田に全国の決勝で0-4、シュート0本で敗れた大津高校のFWでした。
あの当時は、上手いけど線が細く青森山田の守備陣に潰されていた印象があった小林選手の大仕事です!
こんなもの黙って見れるわけがない!
「すいません! 混ぜてもらっていいですか!?」
と、延長から筑波ゴール裏に混ざるすがや。歓迎してくれてメガホンまでくれる筑波生、優しい……。
しかし延長戦、ゼルビアにPKのチャンスが。祈るように見つめる我々筑波応援団。
そして、佐藤瑠星選手の鮮やかなPKストップ!! 彼もまた全国大会決勝で黒田監督の青森山田に0-4で敗れた、あのときの大津高校の正ゴールキーパーです。
歓喜に沸く筑波応援団!!
そして
「まだプレー切れてないぞ!! 集中しろ!!!!」
と叫び、筑波の子たちのハイタッチを制しピッチを見るすがや。
あのロシアW杯のベルギー戦の経験してきた男……。面構えが違う……。
筑波の子たちも良い子なので、すぐにピッチに叫びます。そしてプレーが切れたところで改めてハイタッチ。
「流れ持ってこい!!」のチャントを歌う筑波応援。番狂せの匂いプンプンです。
天皇杯でありがちなのが、下位カテゴリーのチームが足をつりながらも、120分間、体力の限界まで走り抜く姿に心打たれること。ですが、足が一切つらない筑波大。最後まで対等に戦い抜きます。
そして、そのままスコアは動かず、PK戦。
僕たち筑波大応援団は肩を組んで応援しました。そして、ここで下位カテゴリーの強みが出ます。
筑波大はそれをわかっての120分の戦い方なのですが、分析班が手に入れられるPKの資料数が全く違うのです。
なんせ、JリーガーのPK映像は探せても、大学サッカー部員のPK映像はそうそう探せない!
そうなるとどうなるか?
筑波大のGK佐藤選手は、ゼルビアの多くの選手たちのPKを“知っている”状態で相手と戦えるのです。
そんな佐藤選手のスーパーセーブもあり、1本リードで迎えた筑波5人目。角選手はPKを蹴る前、不敵に笑いました。そして蹴り込んだシュートは、ゴール右上隅に弾丸のように突き刺さります。
連載中のコラムに直で動画を貼れないので
— カカロニすがや(サッカーの話) (@sugaya_football) June 15, 2024
コラムから動画見れるようにこちらに上げます。
筑波大、勝利の瞬間! pic.twitter.com/8AaKqIt9F9
豪胆。筑波はこの一戦を通して豪胆でした。そして、水色のスタンドが歓喜に沸きます。
〇【ハイライト】第104回天皇杯 FC町田ゼルビア vs.筑波大学|2回戦
試合後には、みんなで勝ちロコ(清水エスパルスが勝利したときにサポーターと喜び合う恒例行事。筑波大では、現清水エスパルスの西澤健太選手が在学時から行われるように)。レッズサポの僕も、ロコの波に飲み込まれる形で初めてやりましたよ。最高に楽しいです!!
そして、今日(原稿執筆日)はあれから3日後の土曜。僕は西が丘サッカー場へ向かっています。筑波大の今度の相手は、関東一部リーグ6勝1分、得失点差+22、しかも天皇杯初戦で敗れた筑波大へのリベンジに燃える明治大学。
天皇杯でJ1チーム相手に120分間を戦った経験がある友人いわく
「しんどいけどメンタル的にやれてしまう。むしろ動けてしまう」
……ということなので、面白い試合になることを期待しています!(※試合は2-2のドロー決着でした)