トレーナーの「大丈夫!」で自信が湧いた

ライオンズの練習風景。こうした練習も球団職員の支えで成り立っている ©SEIBU Lions

いわゆる「裏方さん」と呼ばれるこれら球団本部のみなさんには、私も現役時代とてもお世話になりました。

私はなんといってもケガが多かったので、特にトレーナーの方には大変お世話になりました。治療やマッサージ、リハビリはもちろんのこと、近距離からボールをトスしてもらう「ティー上げ」など、練習を手伝ってもらうことも多くありました。

コーチの視点とはまた違う、身体の使い方、筋肉の使い方といった医療的な視点からの助言がありがたかったのを憶えています。微妙な感覚を共有してもらえているような気がしていたので、「大丈夫!」というひとことをもらうと、自信を持って試合に臨むことができました。

また、この世界への道を開いてくれたのはスカウトの方です。「高校時代から注目していた」と後に言われましたが、高校時代の監督は外部からの「雑音」をシャットアウトする方針だったため、どの方がスカウトなのかわかりませんでした。

また、後に大学から逆指名で入団するときは、何もかも不安だらけでした。逆指名といっても、特に書面があったわけではないので、ドラフトの日に本当に自分の名前が出るのか不安だったのです。

そして無事入団が決まった際、「学生のときのままやってくれたら問題ないから」というスカウトさんの言葉で、とても安心しました。

打撃投手では、1~2年目の頃、決まって投げていただいた方がいました。投げていて私の打撃の調子がわかっているようで、悪いときには自分の打ちやすいところに投げて、気持ちよく打たせてくれます。調子のいいときは難しいところに投げて、技術力アップの練習をさせてくれます。その意図は、打っていてわかりました。

打撃投手は本当に大変な仕事です。常にストライクを要求され、変化球を注文されたらそれをストライクゾーンに投げる。それを当たり前のようにやります。精神的にも体力的にも強靱でなければ務まりませんし、打撃投手の能力次第でバッティングの能力が上がるというのは間違いなくあると思います。

次回は、球団本部以外の球団職員の仕事を紹介します。

『球団職員の世界』は次回4/17(金)更新予定です、お楽しみに。