書評だけで食べていくことは難しい

では、書評家が書評を執筆したら、どれだけのお金が原稿料として振り込まれるのでしょうか? 

やっぱり、それも気になるところですよね?

ただ先に申し上げておくと、書評家であろうが、書評家以外の文筆業者であろうが、“文章を書いてお金をもらっている人”の原稿料にそれほど差はないと思います。ですので書評家の収支というよりは、文筆家・ライターの収支と考えていただいたほうが近いはずです。 

書評だけで食べていくことは難しい イメージ:PIXTA

もちろん、大御所とか売れっ子といわれる人は違うのかもしれません。しかし、大半の文筆業者の懐事情は、おそらくだいたい同じくらいではないでしょうか。ましてや、書評家だから高いというようなことは決してありません。 

また、これから書くのはあくまで僕が知っている範囲のことで、もっと稼いでいる方がいらっしゃる可能性もなくはないので、あくまで参考程度と思っていただければと思います。 

書評以外の執筆業者も事情は似たようなものでしょうが、ひとくちに書評の原稿料といっても、その額は非常にばらつきがあります。

具体的な額は書けませんが、Aという媒体の原稿料とBという媒体の原稿料とでは3倍くらいの差があったりもします。などと書くと、結果的にものすごい額が振り込まれているような印象を持ってしまうでしょうか? しかし、そんなことは断じてありません(あったらどれだけ楽か)。そもそも、この記述の基準になっているのは「最低額」なのです。 

たとえば最低額が10万円だったとしたら、すべての原稿料を合わせると相当な額になるでしょう。

でも残念ながら、最低額が10万円などということは考えられません。一桁(あるいはそれ以上)違うこともザラ、つまり最低額が低すぎるので、仮に最高額がその3倍あったとしても、合計すればたいした額にはならないわけです。 

ですから現実的に、書評だけを書いて食べていくことは難しいと思います。他のフリーランスも似たようなものでしょうが、少ないものをこつこつと積み上げていく以外に手段はないわけです。 

え、だったらなんで続けてるのかって? 

そりゃ、この仕事が好きだからですよ。