スポーツバーで感じた日本のサッカー文化成熟
試合が始まると、驚いたことがありました。店中がワンプレーごとに一喜一憂しているのです。フェルミン・ロペスの別格のプレーにあげる悲鳴も、藤田譲瑠チマ選手のボール捌きに沸く歓声も、右サイドで全然出てないのにオフサイド取られた時の
「オフサイドかー! まあ、ちょっと出てたか……」
も、リプレイを確認して、
「おい、全然出てねぇじゃねぇか!! 審判どこ見てんだよ!!!」(一つ前の関根選手が戻りオフサイドだったという説もあるけど、あのリプレイで把握できるはずがないのである)
……店内が一体となっています!
そして、細谷真大選手のゴールで喜びが爆発しました! 近くのサポーターとハイタッチをし、遠くのサポーターと指を差し合って「しゃーー!!!」と叫ぶ。これこれ、4年に一度のお祭り、俺はこれが味わいたかったのよ。
喜んだのも束の間、結局ゴールはオフサイドで取り消し。オフサイドラインのCG映像はハーフタイムどころか後半途中という嘘みたいに遅れて表示されたけど、VAR担当が出ていたというのならしょうがない。
それでも店内はポジティブでまだまだ取り返せるという空気が満ちていました。
ハーフタイムの会話も
「早く植中(朝日)出さないかな」
「なんだよそのミス。ジュビロ出身か?」
「エスパルスのサポーターは見る目がないからな。」
「藤尾(翔太)だ! 藤尾! なんでもやれ、水かけていけ!!」
と、どこのチームのサポーターがいるのか耳だけでわかるし、「みんな味方になったら藤尾翔太選手の強かさを頼りにしてるんじゃん」と、12年前のHUBよりだいぶ居心地が良くなっていました。
どことなくこの12年の間にW杯開催国で入ったスポーツバーに行った時に近い空気なっているんですよね。日本のサッカー文化も成熟しているのかな? なんて思わずにはいられませんでした。
後半も日本は奮闘しましたが、フェルミンからもう1発食らい、ゲームセット。結局、0対3の敗戦でサッカー男子日本代表のパリオリンピックは終わりを告げました。
個の力ではなく、粘り強さと一体感、集中力のあるチームでした。五分五分ではない。それでも勝負の勘所を見極めて自分たちの時間も多く作った。スペイン相手にも十分やれていたんです。
でも、ゴールシーン以外でもチーム全体で本気でハメにいった時に、鮮やかな股抜きで剥がしてくるのもフェルミンで、「大岩ジャパンのメンバーがこれからA代表に上がっていったら、これが11人いるチームと戦うんだ」と考えると、この悔しさをバネにもっともっと上手く、強くなってほしいと2年後(2026年北中米W杯)に向けて後押ししていきたいと思った夜でした。
その時は、今度は現地で僕も粘り強さと集中力を引き出せるように声で後押しさせていただきます!!