TPが秋田の奇祭を訪れた理由

8月のド平日、酷暑の東京から逃げるべくTPコーポレーション東京Xメンバー全員(僕と社員の桜井さん=2人)は北へ向かった。正確には「秋田竿燈(かんとう)まつり」という奇祭を見学すべく秋田へ出張してきた。

「秋田竿燈まつり」とは、秋田県秋田市で毎年「五穀豊穣」を願って行われている、提灯をたくさん吊るした竹竿(=竿燈)を手で持ったり、頭の上に乗せる技を披露するお祭りだ。

サンドウィッチマンの富澤さんがいたら「ちょっと何言ってるかわからない」と言われそうなので、下の写真を見てほしい。奇しくも富澤さんは東北出身(宮城県)なので、上の説明だけで何言ってるかわかるかもしれない。

▲「秋田竿燈まつり」の様子

約280本の竿燈が大通りを埋めつくす様子は圧巻で、一生に一度は絶対に見たほうがいい光景だ。僕も夜風に当たりながらビールを飲んで竿燈に見惚れてしまった。

さて、どうして急に僕が竿燈まつりに行くことになったか、これには理由がある。

2022年9月、弊社がYouTubeを制作している芸人「金属バット」のファンという広告代理店の方と、お食事をさせてもらう機会があった。その方に「TPさんに会わせたい人がいるんで連れてきました」と紹介されたのが、PRプランナーの根本陽平さん(実名、この話のキーマン)だった。

根本さんは「グローバルSABREアワード」「PR WEEKアワード」「WOMMYアワード」などを受賞しているスゴい人だ。僕が無知なので、どんな賞かはわからないが、とにかくPRプランナー(さまざまな商品やサービスのPR戦略を考えて実行する人)として第一線で活躍している人で、おいそれと僕が対等に話せるような人じゃないのは、竿燈の火を見るより明らかだった。

僕の中で「これはビジネスの話をしてもボロが出る」というアラートが発動した。根本さんは、きっと僕を「テレビ局から独立して社長になった敏腕プロデューサー」くらいに思っているに違いない。実体は、ただなんとなく会社を辞めたポンコツ社長だとバレないように、僕は食事会の最中、とにかくビジネス以外の話をしようと心がけ、

「ご出身はどちらですか?」

という、ひと昔前のお見合いのような質問を根本さんにぶつけてみた。

根本さん「秋田です」

僕は脳内の引き出しから秋田関連の話題を出しまくった。

「金足農業(秋田の高校)vs大阪桐蔭の甲子園決勝、見に行きました!」
「大学時代に東北縦断したときに秋田を通りました」
「いぶりがっこクリームチーズ、居酒屋にあると頼んじゃうなぁ」
「なまはげって、怖いですよね」

など、後半は実家の麦茶より薄い話題も臆することなく出しまくった。

すると、これが思いのほか盛り上がった。根本さんは異常なほどに秋田愛がある人だったのだ(後々知ったことだが、秋田出身の人はもれなく全員、秋田愛が強い)。

根本さんは、僕がこんなに秋田の話題で盛り上がって(盛り上がろうとして)くれたことが嬉しかったようだ。秋田の魅力を存分に教えてくれて「秋田を盛り上げたい」という思いを何度も口にしていた。さすが日本有数のPRプランナー、僕もだんだん本当に秋田に興味が湧いてきて、気づけば「秋田を盛り上げる方法を考えます!」と宣言してしまっていた。

こうして僕と根本さんは「秋田」というキーワードで意気投合し、何度か飲みに行く仲になり「僕以外が全員、秋田出身の人」という、いわゆる「県人会」にもお呼ばれされるようになった。僕はいよいよ引き返せないところまで秋田に浸かっていた。

そこで僕は、今年の1月に実際に自腹で秋田旅行をした。こんなきっかけがないと、もしかしたら秋田に行くことなんて一生なかったかもしれない。自分の目で秋田の現状を見て、秋田を盛り上げる策をたくさん考えた。考えたような気がする。実際はおいしいごはんとお酒をたらふく飲み食いして、秋田を堪能しただけだったかもしれない。

秋田旅をするにあたり「TPさん秋田へ」というグループLINEが発足され、秋田県人会の人たちが秋田でどこに行ったらいいか、何を食べたらいいかなどを事細かに教えてくれた。激ウマのレバニラの店や、地元の人であふれかえっている居酒屋、おしゃれすぎるBARなど、ガイドマップには載らないようなディープな秋田を堪能することができた。現地に足を運んだことで秋田のことをさらに好きになった。