ジョックロックが決勝に進出した凄さ
【ベストアマチュア賞】
〇乙女ブレンド『弱者男性』(M-1準々決勝ネタの原型)
また、準決勝のエキシビジョンとして、ベストアマチュア賞の乙女ブレンドがネタを披露したのだが、こちらもかなり良かった。「M-1事務局からお願いされた」とネタ中に暴露していたM-1ネタは、平日の夕方に準決勝を観にくるような、M-1マニアの観客にブッ刺さりまくりでかなり会場を温めていたし、ウケ量だけで言ったらもしかしたらその日1番だったかもしれない。2年前から始まった「ベストアマチュア賞が準決勝でネタを披露する」というこの制度のおかげで、アマチュア組にも明確な目標が生まれ、アマチュアお笑い界はより一層活気づいているに違いない。
乙女ブレンドの2人は、筑波大学の4年生とのことで本当に末恐ろしい、プロになるのかなぁ。
【Cブロック1番手から決勝進出!!】
今回は、Aブロックから1組も勝ち上がりがいなかった。空気がつかみづらい序盤のうちにネタをするAブロックの出場者が難しい戦いになるのは、これまで同様なのだが、Bブロック終わりに15分間の休憩がはさまるため、いったん流れが絶ち切られ、Cブロックの1番手も実質「トップバッター」になってしまう。
特に今年はトイレ行列が長かったせいか、15分どころか20分くらい休憩していたと思う。今回はその後半戦のトップバッターをジョックロックが務めたのだが、そんな状況の中、彼らが決勝進出したのは、本当にすごいと思う。
【はりけ〜んずに敬意を】
MCのはりけ〜んずも、相変わらず過不足のない安定した進行っぷりで、とても良かった。オープニングでライブビューイングの説明をしている際の「イオンシネマ板橋のみなさーん、僕そこでプリキュア見ました!」が、会場的にはこの日最初の爆発だったし、一気に笑いやすい空気になった。緊張感漂う賞レース準決勝のMCという、かなり難しい役回りを、他の芸人さんにリスペクトを持って長年やられているのは、本当にすごいと思う。
【歴史を重ねて大きくなるM-1】
例年に比べて、稼働しているカメラ台数がかなり増えていた印象を受けた。会場に向かう途中も、カメラを持ったディレクターさんを何人も見かけたし、舞台袖や客席通路など、至るところでカメラが回っていた。これはきっと「アナザーストーリー」の素材になるんだろうし、今年負けた組が数年後に優勝するときの貴重な映像資料になるのだろう。「M-1グランプリ」という大会がどんどん大きく、そして由緒あるものになっていく様子を垣間見た。
金属バット友保さんの魂を受け継ぐ芸人に期待
【世間はこの熱を知らない】
準決勝現地観戦のあと、この連載の編集担当の方と居酒屋で「ファイナリスト発表記者会見」を見守った。決勝進出者が1組ずつ発表されるたびに「おー」と歓声をあげたり、拍手を送ったりしていたのだが、ほかのテーブルは一切配信を見ている様子がなかった。
お笑いファンからしたら、M-1の決勝進出者発表に興味がないなんて信じられないが、他方でそれが普通=世間という感覚は、持っておいたほうがいいんだろうなと思った。僕だって、ボクシングのことを一切わからないので、井上尚弥選手の試合の日に「あとで結果だけわかればいい」と言いはなって、ボクシング好きの友達に右フックを決められたことがある。
【ジャンボどん兵衛】
戦いとは全然関係ないけど、会場に「どん兵衛」の大きな置き物が飾られていた。「M-1グランプリ2022」の準決勝で、金属バットの友保さんが持ち帰って騒ぎになった代物だ。いわば「場外乱闘」で大会を盛り上げる「どん兵衛持ち帰り枠」は、まだ空席のままなので、友保さんの魂を引き継ぐ芸人さんが現れることを期待したいと思いつつ、ネタだけに集中してほしいとも思うので、そう考えると友保さんはすごい。
〇M-1グランプリ2022準決勝「どん兵衛騒動」について【金属バット】
ジャンボどん兵衛!!
— たかはし(TP) (@takahashigohan) December 5, 2024
盗む人がいないからガード緩め!!#M1グランプリ pic.twitter.com/VLSheKhp0M
「M-1グランプリ2024」決勝と敗者復活戦は12月22日。出場する30組の芸人さんが健やかにこの日を迎えられることを切に願っている。
次回の『TP社長日記』は、12月26日(木)更新予定です。お楽しみに!!
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