国家の命運を外国に委ねるな! 独立国としての「フリーダム(freedom)」を、外国と官僚に依存した戦後体制によって奪われている日本。国際情勢や国内の諸問題を通じて、真の「フリーダム(freedom)」とは何か? 『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)で第1回日本再興大賞を受賞、第20回正論新風賞を受賞した江崎道朗氏が日本再建の道はどこにあるのかを示す!
平成29年4月21日は日本の安全保障の転換点
安倍晋三首相は平成29年5月3日、民間憲法臨調が都内で開いた集会にビデオメッセージを寄せ、自衛隊の存在を明記した条文を9条に追加し憲法改正を行い、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年を「新しい憲法が施行される年にしたい」と明言しました。首相が施行時期に言及したのは初めてのことです。
安倍首相が改憲を主張したのは、現実の危機が間近に迫ってきているからです。
1950年6月25日に始まった朝鮮戦争の時も、九州では空襲警報が鳴ったことがありますが、実に67年ぶりに、ミサイル攻撃という現実の危機が押し寄せてきているのです。
平成29(2017)年4月21日、菅義偉官房長官は記者会見で、ミサイル攻撃を受けた際、身を守るためにとるべき行動をとりまとめ、内閣官房のホームページにある「国民保護ポータルサイト」に掲載したことを報告しました。
この記者会見のポイントは、2つあります。
第1に、ミサイル攻撃を受けることを想定して官房長官が記者会見で「自分の身は自分で守るしかない」と国民に直接注意を呼び掛けたことです。これは恐らく戦後初めてです。
第2に、政府は、都道府県の担当者を集めて緊急会議を開催し、避難について住民への周知と訓練を呼び掛けたことです。
ミサイル攻撃を受けた際の対応について、なぜ都道府県の担当者と協議するのか。自然災害の時と異なり、有事の際に国民を避難・救援するのは、地方自治体の役割なのです。
というのもミサイル攻撃を受けた際、自衛隊はミサイルを撃墜するための行動や外国の軍隊による攻撃から領土を守るための防衛に従事していて、国民の救援活動などはできないからです。
平成16年に制定された「国民保護法」第11条では、地方自治体は、以下のような措置をとることが義務付けられています。
二. 救援の実施、安否情報の収集及び提供その他の避難住民等の救援に関する措置
三. 武力攻撃災害の防除及び軽減、緊急通報の発令、退避の指示、警戒区域の設定、保健衛生の確保、被災情報の収集その他の武力攻撃災害への対処に関する措置
四. 生活関連物資等の価格の安定等のための措置その他の国民生活の安定に関する措置
五. 武力攻撃災害の復旧に関する措置
にもかかわらず、いざという時に地方自治体が対応できるかどうか、かなり疑問です。
せっかく法律ができているのに、地方自治体と病院、消防、警察、学校などが連携して訓練を実施し、問題点を洗い出しておかないと、いざという時に機能しません。
これまでは「政府から具体的な指示がないと動けない」という言い訳が通用したかも知れません。しかし、4月21日、政府は明確に住民に情報を周知するとともに、避難訓練などをするよう呼び掛けた以上、そんな言い訳も通用しません。
しかも官邸は4月24日にも、メールマガジンで、北朝鮮の弾道ミサイル発射を警戒し、国民に「身を守るためにとるべき行動」を確認するよう注意喚起しました。メルマガでのミサイル警戒情報の発信は初めてのことです。
いざというとき、自分の身は自分で守る、これを「民間防衛(市民防衛)」と呼びます。諸外国では、ミサイルなどの攻撃やテロなどに遭遇した時、どのように身を護るのか、その方策などを事前に国民に周知しています。
是非ともインターネットにアクセスし、「国民保護ポータルサイト」で検索して中身をチェックして下さい。
◎国民保護ポータルサイト
※本記事は、江崎道朗:著『フリーダム 国家の命運を外国に委ねるな』(展転社刊)より、一部を抜粋編集したものです。