国家の命運を外国に委ねるな! 独立国としての「フリーダム(freedom)」を、外国と官僚に依存した戦後体制によって奪われている日本。国際情勢や国内の諸問題を通じて、真の「フリーダム(freedom)」とは何か? 『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)で第1回日本再興大賞を受賞、第20回正論新風賞を受賞した江崎道朗氏が日本再建の道はどこにあるのかを示す!
豊洲と豊中だけでいいのか? 日本の国会の異常さ
トランプ共和党政権が2017年1月20日に発足しましたが、イスラム圏七カ国からの入国制限を命じる大統領令を出したことから、国内だけでなく、国際社会からの強い反発を受けました。
これまでのアメリカ大統領とは異なる、型破りの指導者の出現にアメリカ国民だけでなく、世界中が困惑し、発言の意図を図りかねています。
日本でもワイドショーでトランプ政権についてあれこれと解説する番組が流行し、普段、国際政治に関心がないお茶の間でも、トランプの話題が出るようになってきています。
芸能人や、野球、サッカーなどのスポーツ情報を扱うジャーナリストとも話をしました。なぜ芸能関係のジャーナリストがトランプ大統領のことを聞きたいのか、疑問に思って聞いてみました。面白かったのは、テレビも週刊誌も、連日のようにトランプを扱うのは、それだけスター性があるからだ、という分析でした。
たとえ悪役であっても、マスコミが連日取り上げることで国際政治について関心を持つ日本人が急激に増えていっている、しかも世界が結構無茶苦茶で、世界の善意に頼っている場合ではないことを一般庶民さえも感じるようになってきているのは実は大変な効果ではないのか、という指摘でした。なるほど、そういう見方もあるのか、と実に新鮮な驚きでした。
大手新聞社の幹部とも意見交換をしました。その幹部は、「トランプ大統領はアメリカ・ファーストと言って、アジア太平洋の安全保障について強い関心を持っていないのではないか」と心配していました。
その心配は全くその通りで、トランプ大統領の関心は、荒廃しているアメリカ国内の再建であって、外国のことではないからです。
平成29 (2017)年はロシア革命100年に当たることから、2月末から一週間ほど、ソ連・共産主義によって苦しめられてきたドイツ、チェコ、ハンガリーなどを回りました。
言論の自由を奪われ、共産党の批判をしただけで秘密警察に捕まり、拷問を受けて殺される。そんな恐怖政治に苦しんできた東欧、中欧諸国は、1991年のソ連崩壊を受けて直ちに、共産党一党独裁体制を改革し、民主主義国家へと移行しました。
それから二十数年、チェコもハンガリーも、ソ連、共産主義体制の恐ろしさを語り継ぎ、自国の独立と安全を守る重要性を懸命に語り継いでいました。
そんな中欧諸国の姿に感銘を覚えて日本に帰国して、テレビを見たら、豊洲問題と森友学園問題ばかりがクローズアップされていました。
マレーシアでは、北朝鮮の金正男氏が暗殺され、北朝鮮の動向が改めて国際社会で注目を集めています。お隣の韓国は、朴大統領が罷免され、大統領不在のまま、国内は混乱を極めていました。どこの国の政治も大きく混乱しています。
そんな中、日本の国会では、ひたすら大阪府豊中市の私立学校の「モリトモ」問題ばかりに焦点が当てられているのです。
不正があるなら、正さないといけません。しかし、国会において一民間学校の件だけを延々と議論するのはやはり異常です。
※本記事は、江崎道朗:著『フリーダム 国家の命運を外国に委ねるな』(展転社刊)より、一部を抜粋編集したものです。