うぉい!

「でも、何かと理由をつけてサボりながらかもしれないけど、3日連続でバカみたいにサボって、やべってなって4日適当に頑張って、またバカみたいに3日サボってってことかもしれないけど、それでも頑張ったから痩せたんじゃないの?」

褒められてんのかディスられてんのかようわからんけど、その通り過ぎてなんも言えん!
するとアツオは、

「そうです!」

「「は?」」

モッちゃんと私、同時に声が出た。

「それでよかったんですよ! サボりながらでよかったんです。なのになんで真面目にやり出しちゃったんですか?」

楽に(サボりながら)月1キロ痩せてたんなら方法を変えるべきではなかったというのだ。

「サボりながらだったら、こんな停滞しなかったってことですか?」
「ですね! まあ正確にいうと、これまでも停滞していた時はあったと思うんです。
でも「月1キロでいいやー」ってマインドでやっていたからそれに気が付かなかった」

サボるタイミングでカロリーの多い日も作れていたから、自然と代謝が戻って、また痩せ始めて、ってサイクルを作れていたらしい。

でも、私が月1キロじゃなくて月2キロ痩せたいと、
色んなものに手を出して、サボらず真面目にやった結果、ひどい停滞をまねいた。

「ダイエットっていうのは、ダイエットしてるってバレちゃダメなんです」

他人にってこと?

「いーえ! 自分に。正確には自分と、自分の身体に、バレちゃダメなんです」

体にとって、痩せるっていうのはすごく嫌なこと。
エネルギーのもとになる脂肪を蓄えておく方が、生きていくのに有利だから。

だから痩せようとすると、身体は逆に脂肪を溜めておこうとするから、体重が停滞する。
そんな賢い身体に“ダイエットしてる”ってバレずに、いかにダイエットするかが大事。

「いいですか? ダイエットにおいて一番重要なことを今から伝えます!
ダイエットの極意は……
『いかにダイエットしないか』ですっ!!」

ダイエットしなきゃ! ってなって、ダイエットしてるつもりで日々を過ごすからしんどい。

普通に暮らして
「あ、なんかいつの間にか痩せてたわ〜。てへ」
が一番良い。

「いやそりゃそうだけどさ〜。それが出来ないんじゃんか〜」
と、モッちゃんが唇を尖らせてアツオに文句を言う。

「なんで出来ないんですか?」
「なんでって」
「出来ないんじゃないんです! やり方を知らないだけです!」

おお……、さすがアツオ。圧がすごい。

でも、私はこの話にピンときた。

そうだ。知らないだけなんだ。

普通に暮らして
「あ、なんかいつの間にか痩せてたわ〜。てへ」
と、言えるやり方を。

私は知っている。
今までの経験の中で知っている。

ダイエットに一番必要なのは、運動でも食事でもない

一番必要なのは、知識!!

私は知っている!

ダイエットにおいて、
知っている
と言うことがどれほど強いかを!!

私は、若干の興奮を必死で抑えながら、アツオにこんな質問を投げかけた。

「じゃあ……じゃあ、楽に停滞を抜け出す方法も、あるんですか?
あなたは、その方法を知ってるんですか……?」

すると、アツオは、
私にとっての救世主は、
少し間を置いた後……、

白い歯をキラリと輝かせて、こう言った。

 

う゛ぉい!

「ウソウソ! ウソです! ごめんなさい!!」

と、アツオは笑う。そして「僕が楽だと思うやり方でよければ教えます!!」と。
若干イラッときた私。愛想笑いでなんとか誤魔化す。
モッちゃんは隣でほくそ笑む。私の心を全て見透かしたように。

兎にも角にも(最初、「角にも」を誤変換して「角煮も」って打っちゃった。角煮食いて〜〜)