ここから仕切り直し。
停滞を打破して、
ダイエットのやり直しだ。
「あ、一つだけ絶対言わないといけないこと忘れてました! これだけは言わないとなんだったー!!」
え……なに?
もしかして楽だけど実はめちゃくちゃお金かかるとか言うんじゃ……
するとアツオは私の目を真っ直ぐ見て
「自分を変えようと思ったこと、それに対して努力したこと、そして結果を出していること。
ほんとーーーーーに素晴らしいですっ!! あなたは、すごいっ!!!」
え……なんすか。急に。
そんないきなり、ガッツリ褒めて。
……なんすか。……いや、うん。……嬉しいじゃ、ないっすか。
あ。
そういえば私ずっと「偉くない?」とか「褒めて」とか心の中で言ってきたな。
「目標まで、あと少しです。
僕に教えられることならなんでも教えますので、10キロ痩せるまでラストスパート、頑張ってください!」
ストレートな励ましが……正直染みた。
さっきまでずっと停滞して、もう何していいかわかんなかったのに、今はすごくダイエットに前向きになれている。
いや、今この瞬間だって、停滞はしたまんまなんだけど、
でも
なんだか、やれる気がした。
「なんか、ありがとうございます。こんな見ず知らずの人間に」
私が感謝を伝えると、
アツオは少しだけ黙り込んだ。
モッちゃんと顔を見合わせ首を傾げていると、アツオが
「いやいや、単純に見てて心配だったんですよ。めちゃくちゃ暗い顔してたから」
心配?
「あ、いえ気にしないでください! さ、まずは停滞打破ですね!」
そして私はこの後、アツオから色々とテクニックをレクチャーしてもらった――……。
翌日──。
本日の体重も、
10キロ痩せるまで、あと4キロ──
と、引き続き絶賛停滞中。
だが、今日から早速、アツオからのアドバイスをうけ、ダイエットをやめてみることにした。
一度メンテナンスカロリーに戻す。
アツオ曰く、
「たぶん食べた翌日は体重増えます。でもそれは気にしないでください! 食べた物量とか水分で体重が増えただけ。脂肪がついたわけじゃありません。1週間しないうちに元に戻りますから。だから信じてしっかりメンテナンスカロリーまでは食べてください!」
……よし! 食べるぞ!
……信用するよ! アツオ!!
1週間後――
確かにメンテナンスに戻した翌日は増えた。
が、増えたものはアツオの言う通り、戻った。
いや、
戻ったどころか……
本日の体重、
10キロ痩せるまで、あと3.5キロ──
なんと、最小値更新!!
メンテナンスカロリーなのに、最小値更新!!
いやいや意味わからんて。
食べないで痩せなかったのに、
食べて痩せるとか意味わからんて。
アツオに「元に戻るどころか痩せたんですけど?」ってラインすると、あるあるだと言われた。
代謝が上がって脂肪が燃えやすくなったり、疲れが抜けてむくみや便秘が解消されたりで体重が減ったんじゃないか、とのこと。
てかメンテナンスカロリー、らく〜〜!
カロリー摂れるってこんな楽かよ〜〜!
身体、超楽〜〜!
と、そこで、ふと思った。
あれ? 私いつの間に「楽してダイエットするがモットー」を忘れていたんだろう。
あれだけ声を大にして言ってたのに。
痩せてたからって調子に乗って、月1キロから2キロと言いだしたあたりから、すっかり忘れていた。
……よし。ここからだ。
ここからまた、「楽してダイエットするがモットー」で、ダイエットをリスタートする!
まず、リスタートするときに最初に見直した方がいいと言われているのが、
・三大栄養素であるP(タンパク質)F(脂質)C(炭水化物)を整えること
と
・同じにならないようにすること
アツオ曰く、
「経験上、“ずっと同じ”が一番痩せない」
身体にダイエットしてるってバレないようにするためにも、
カロリーの少ない日を作って
「どうせこの身体カロリー摂らないんでしょ〜」
と思わせておいて、次の日に多めにとって
「いやカロリー摂るんかい!」と身体に思わせる。
はたまた
「どうせいつもの炭水化物量なんでしょ〜?」
と思わせておいて
「大して炭水化物摂らんのかい!」
と思わせたり、次の日には
「炭水化物めっちゃ摂るんかい!」
と思わせたり。
そんな身体にダイエットしてると思わせないような生活で、1週間のトータルがメンテナンスカロリーの5%〜15%ほどのアンダーカロリーになることを目指す。
そんな感じで、
ダイエットするのか!? と思ったらしないのかい!
ダイエットしない、と思ったらするんかい!
を、繰り返すことで、
ついに私の体重は、
10キロ痩せるまで、あと3キロ──
というところまできてしまったのだ!
はっ!!
その瞬間、私は……
物凄いことに気がついてしまった。
私は……私は……
ダイエットの真髄とも言えることに気がついたのだ!!
ダイエットは……
ダイエットは、つまり……!!

10キロ痩せるまで、あと3キロ──