自分の殻を破りたくてキャプテンに立候補
すがや:2025シーズン、筑波大学蹴球部キャプテンに就任されました。これまでにキャプテン経験はありますか? あと、どういった経緯で務めることになったんでしょうか?
山崎:これまでやったことはなかったです。本来、キャプテンをやるようなキャラではないので(笑)。でも、今回のキャプテン就任は自分で立候補しました。
すがや:立候補した理由を教えてもらってもいいですか。
山崎:これまでは、自分のプレーを出せばいい、自分が活躍できればいい……と自分主体に考えてサッカーをしていました。そんな中、最上級生の4年生になりますし、チームを勝たせたいという気持ちは、人一倍持っているつもりです。学年ミーティングの時にそういった思いを仲間に話したうえで、キャプテンをやりたいと言いました。ケガも経験して、自分の殻を破りたいという気持ちもありました。
すがや:「チームを勝たせたい」という思いからの立候補だったんですね。実際にキャプテンになって、チームの見え方は変わりましたか?
山崎:変わりましたね。俯瞰的に、チーム全体を見られるように少しずつなってきたかな、と。自分にフォーカスするのも大事だと思うんですけど、「仲間のため、チームのため」というのは、サッカーのみならず、生きていく上で大切なことだと思うので、人間としても成長できている実感はあります。
すがや:筑波大学という強豪にもなると、全国からサッカーエリートの選手が入ってくると思います。我の強い選手、自分中心に考える人もいるんじゃないかと思うのですが、そのあたりはキャプテンとしてどう考えていますか?
山崎:我が強い、自分を出すというのは、悪いことではないと僕は考えています。ただ、それを出しいていい状況や場所があると思うんです。そういうものをぶつけあって、チームとしても個人としても成長していくものでしょうし。
ただ、試合に出たら、声を枯らして応援してくれるチームメイト、試合運営を支えてくれる方々……そういう人たちの代表としてピッチに立っているということを忘れず、感謝の気持ちをもってプレーしてほしい。そういう部分を自分が伝えていきたいです。
すがや:筑波大学でも加藤玄選手(現・名古屋グランパス)、諏訪間幸成選手(現・横浜F・マリノス)をはじめ、複数の選手が卒業を待たずにプロの舞台でプレーしています。山崎選手は昨年のケガの影響もあり、思い描いていた未来と少し違う部分もあると思うのですが、同世代が活躍している姿をみて感じることはなんでしょうか?
山崎:もちろん刺激にはなっていますし、自分も同じ舞台に立ちたいという気持ちはあります。ただ、今は焦らず、筑波大学蹴球部で活躍し、チームを勝たせることだけを考えています。そうしていけば、自然と(Jリーグなどへの)チャンスは巡ってくると思うので。
すがや:さらに上のカテゴリーで活躍する姿、楽しみにしています! 筑波大学蹴球部がこだわっていること、大事にしていることを教えてください。
山崎:1人一役仕事があって、その仕事に責任をもって取り組み、筑波大学蹴球部が大学サッカー界を牽引する存在になれるよう、各々が行動しているっていうところがこだわっているところです。
大事にしていることは、仲の良さ、チームワークでしょうか。先輩後輩の上下関係もそんなになく、学年関係なくしっかり言い合える関係性です。ただ、親しき中にも礼儀ありというのはもちろんあって、メリハリはしっかりしているかなと思います。
「応援される選手であれ」という言葉を胸に刻む
すがや:練習を見ていたら、小井土正亮監督が選手とかなりフレンドリーにコミュニケーションをとっている姿が印象的でした。山崎選手は、小井土監督とどんなお話をされるんでしょうか?
山崎:プレーのことも話しますが、今年に入ってからは、キャプテンとして、人としてといった部分のことですね。小井土さんは、「応援される選手であれ」ということを大事にされているんです。ピッチ内で結果を残すのもそうですが、ピッチ外で模範となれる人間が応援される選手だと思うので、そういう人間になれるよう、精進していきたいです。
すがや:僕も大学でサッカーをしていたんだけど、当時も今も大学サッカーの盛り上がりが実力と比べて寂しい気がしています。山崎選手はその点どのように感じていますか?
山崎:対戦する大学はどこも手強いですし、高いレベルでぶつかり合えていると思うので、もっと注目してほしいという気持ちはあります。
すがや:大学サッカーにもホームゲーム制度が加わりましたよね。選手としては、やっぱりホームゲームで観客が入ると、気持ちが高まりますか?
山崎:めちゃくちゃ高まります。僕たちは大学サッカー界で一番を自負しているくらい、こだわってホームゲームを開催しています。2,000人近く入る試合もあり、大学サッカーで観客動員数も最多を記録しました。応援の力がモチベーションになりますし、部を代表して試合に出ているメンバーの力になっています。
すがや:2,000人も!? 今でもすごいけど、さらに多くの人が来てくれると、もっともっと選手の力になりますよね。では最後に、今シーズンの筑波大学蹴球部の目標、個人の目標をそれぞれ教えてください!
山崎:チームとしては、関東リーグの優勝、大臣杯(総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント)、インカレ(全日本大学サッカー選手権大会)で優勝して日本一を獲ることを目標にしています。それができるメンバーが揃っていると思っています。個人としては、今年は自分の実力を証明するシーズンにします。関東リーグでは10ゴール10アシスト以上を目標に、圧倒的な選手になれるよう、日々頑張っていきます!
すがや:昨シーズンは天皇杯( JFA 全日本サッカー選手権大会)でJクラブを撃破するなど、躍進を果たしましたよね。この大会にかける思いはどうでしょうか?
山崎:もちろん天皇杯もモチベーションは高いです。Jリーグのクラブと真剣勝負がしたいです。そのためにも、まずは茨城県予選を突破できるよう、チーム一丸で頑張っていきます(※その後、県予選決勝で流通経済大学を下し、本戦への出場を決める。さらに本戦1回戦で大宮アルディージャを撃破。今大会も躍進が期待される)。
〇あのジャイキリを再び。茨城ダービーを制し天皇杯本戦へ。廣井蘭人によるゲスト解説付き!!
すがや:期待しています。ありがとうございました!

