そしてもう一つショーケースの下段のパックの中にモリモリにエビが入ったアヒージョ的なやつも気になる。
100g 800円。て事は半額の400円か。
ちょうど良い。
とりあえずこの2つを買おう。
颯爽と店員さんに声をかける。
「あ、あのー、このラッザッニッア一つとエビのやつ1つお願いします」
完璧だ。
ラザニアではなくて、表記通りに小さな“ッ”も自然に言えたし、商品名が書いて無かったアヒージョみたいなやつは“エビのやつ”という事で知らない感を出さずにいけた。
これで伊勢丹素人とは思われないだろう。
「あと大きめの袋もお願いします。」
再び言おう。完璧だ。
この後の他の店で惣菜を買う事を想定してここで大きめの袋をお願いする。
なんて余裕があって計算が出来る人間だ。
ご満悦な注文をしたと思ったところで店員さんから説明を受ける。
「はい。それではこちらのエビのカクテルオイルシュリンプ100g 800円が50%オフで400円の500g入っておりますので2,000円になります」
?
な、な?なんだって?
あ、これ100グラムの値段でこれが100グラムな訳ないか。な、なるほどね。
そりゃこんな沢山入ってたら100gな訳ないよな。なるほど。
驚きを出来るだけ表情に出さないように店員さんに「はい」としっかりした返事を返す。
ただ店員さんの猛攻は止まらない。
「こちらのラザニアですが、ショーケース上段は割引対象外なので4,000円になります。
合計6,000円頂戴致します。」
バカな!?、、、、、、え?
え?
よくショーケースを見ると、確かに下段にしか50%オフと書いてない。
マジかよ。
ここから脳みそをフル回転させる。
思考巡らせろ。
状況整理しろ。
これは店員さんミスではないな。だってどっちもよく見たらちゃんと書いてるもんな。
どうする?どちらか断るか?いや。そんなのかっこ悪くて出来ないよ。
「こいつミスって買ったんだ。もしかして伊勢丹初めて?爆笑。笑笑」
って店員さんに思われちゃうもの。
オレは全てを知っていた顔でスマートにカードで会計を終わらせ、無駄にデカい袋をぶら下げて急いで出口の方へ向かった。
そりゃそうだ。2,000円のエビに4,000円のラザニア買ったらもう体力なんかないからね。
外に出て月明かりに照らされた伊勢丹を見上げると、入る時より伊勢丹はデカく見えた。
これだから伊勢丹はやめれねぇよ。
そう心でつぶやき帰宅した。
ちなみにエビとラザニアは嘘みたいに美味しかったから6,000円の会計は妥当なので、引き分けどころかこの価値を知ったので勝ちでした。
次回、反省第6回「眉毛サロンとコミュ力」は、7月20日(日)更新予定です。お楽しみに!!