絵を描いている時は無心

――では、そろそろ最後にお伺いしたいのですが、落合さんが作品を描かれている時に、どんなことを考えて描かれているのか、どういう気持ちなのかという点をお伺いしたいのですが。

落合:僕は、結構無心で描いてることが多いです。

▲落合さんのお話に夢中になる高野

――そうですか、没頭している感じですか。

落合:そうですね。作業中、僕はめっちゃ静かか、めっちゃうるさくして描くかのどちらかなんですよ。

高野:そうなんですか?

落合:音楽も聞いて、テレビつけて、YouTube流して、色んな情報を取り込みながらやってて。

高野:えー! 耳傾けて、聞いているんですか??

落合:はい、聞いてはいて。でも、線の作業は聞かないことが多いですね。でも、塗りの作業は、ずっと塗らなくちゃいけないから、音楽聞いたりしてて。線は、こだわりがやばすぎて、1本の線を描く時、1秒で描けることもあれば、一週間くらいかかる時があるんですよ。その時は、“うわー!”みたいになって。

高野:消しゴムで消したりするんですか?

落合:消しゴムで消します。でも、筆圧が強いから、めっちゃ残っちゃうんですよ。一番嫌な作業が消す作業で、なんでさっき描いたばっかりなのに消してんだみたいな。それがすごい大変で。それが、しかも何百回もあるから。

――面白いですね。めんどくさいとかしんどいっていう気持ちになりながら描いているんですね。

落合:めっちゃそうですね。僕、宮崎駿さんが好きなんですけど、宮崎さんもめっちゃめんどくさいって言いながらやってるんですよ。あと、横尾忠則さんも好きなんですけど、みんなめんどくさいけど、大切だって言ってて、“わかります、先生!”って思いながらやってますね。

――もう投げ出したくなる時はないんですか?

落合:いや、それはないですね。自分の絵がめっちゃ好きなんですよ。だから、自分の絵の出来上がりを自分でも待ってるんですよ。終わらせないとちょっと満足できないしな、みたいな気持ちがあります。

――じゃぁ、描き上がった時の達成感はその都度ありますか?

落合:あります。でも、あんまり良くないのが出来上がっちゃうと。“マジか。勘弁してくれ”みたいな気持ちになります。

――納得できるものができるかどうかで、気持ちが結構変わるんですね。

落合:変わりますね。

――最高のものができたら、どんなテンションになるんですか?

落合:お寿司でも食べちゃおうっかな! みたいな(笑)。

高野:はははは(笑)。

落合:もうルンルンですね!色んな人に出来上がった作品の画像を送ったりして、見せたいです。

――作品ができたあと、次の作品のことも考えてるんですか?

落合:考えますね。次のやんなきゃな―みたいな。でも、絵を描いている人っていっぱいいるじゃないですか。僕、負けず嫌いなんですよ。だから、マジ負けたくなくて。結構描いてる部分の熱量は、怒りがめっちゃ多くて。絶対負けないぞみたいな。絶対負けないぞと思いすぎて。“(鉛筆の芯が)ボキボキ”って(笑)。

高野:スーパーサイヤ人ですね(笑)。怒りが原動力。

落合:ほんと、マジでクリリン死んじゃって…、みたいな(笑)。

高野:はははは(笑)。

――高野さんも絵を描かれる時に、ペンがボキボキ折れるみたいなことはないですか?

高野:はははは(笑)。でも、あんまり自分も口に出したことはなかったんですけど、ライブ中は、自分もすごい怒ってるので。自分に納得してない時が多かったりしますね。

落合:あー、めっちゃいい!

高野:なんか、あんまり言わないようにしてたんですけど、落合さんのお話を聞いて、すごいいいなと思いました。

――歌と絵は形は違いますけど、同じ表現ですしね。

落合:そうですよね。

高野:本当に刺激的でしたね。学ばせて頂くところがたくさんありました。

次回の『お訪ねアトリエ』は、2025年9月5日(金)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
高野洸(たかのあきら)
2009年、NHK教育の人気番組「天才てれびくんMAX」の全国オーディションで選ばれた5人でDream5を結成。妖怪ウォッチのエンディング「ようかい体操第一」が話題となり、2014年にはレコード大賞・紅白歌合戦に出演。2016年のグループ活動終了後は、ミュージカル「ROCK MUSICAL BLEACH」主演や「刀剣乱舞」(膝丸役)、「ヒプノシスマイク」(山田一郎役)、舞台「キングダム」(信役)などに出演し、俳優として活躍。音楽活動では2019年に「LOVE STORY」でソロデビューし、これまでに6枚のシングルと2枚のアルバムを発表。2022年の2ndツアーは東京ガーデンシアターでファイナルを迎えるなど、音楽面でも精力的に活動している。舞台『WAR BRIDE ーアメリカと日本の架け橋 桂子・ハーンー』が8月5日~27日によみうり大手町ホールにて上演中。
X(旧Twitter):@AKIRAT_official
Instagram:@akira_takano_official
プロフィール
落合翔平(おちあいしょうへい)
埼玉県大宮生まれ。多摩美術大学生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻を卒業。身の回りにあるアイテムを描いたペインティングやドローイングを発表してきた。ダイナミックで予想不能な形状や立体感、力強い筆圧で描かれた線画が特徴。2023年にはTerrada Art ComplexⅡのYUKIKO MIZUTANIで個展「THIS IS OCHIAI SHOHEI」を開催。2024年にはNEWERAと読売ジャイアンツをパートナーに迎えたトリプルコラボレーションコレクションの発売など国内外で活動の幅を広げている。また、落合の作品3点がファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)の運営するデジタルファーストオークションハウス『JOOPITER(ジュピター)』による独⾃のマーケットプレイス『JOOPITER Marketplace』にて発売中。
 Instagram : https:@ochiaishohei