舞台での経験をアメフラっシに持ち帰る
一方の愛来は暗闇の森に棲む蜘蛛の役。
こちらはそんなにセリフは多くないのだが、とにかく、もうそこに立っているだけで存在感がありまくり。本当に彼女は舞台映えする。その妖艶さは、なにも知らない人に「この子、現役のアイドルですよ」と教えてあげたら、きっとびっくりするだろうな、というレベルだった。
それよりも愛来と鈴木萌花が同じアイドルグループに所属している、という事実は、この舞台しか見ていない人にとっては、もう衝撃の新事実である。2人しか出演していないのに、アメフラっシというグループの振り幅の大きさを示すことができたのは、とても意義深いことだったと思う。
ちなみにこの公演に登場するのはすべて女性で、その中には現役のアイドルや元アイドルグループのメンバーだった人が多数、いた。主演の多田愛佳は元HKT48の副リーダー。もっといえばAKB48の3期生で「まゆゆ」こと渡辺麻友の同期にあたる。まさに正真正銘の『元・国民的アイドル』だ。
「小さいころからテレビで観てきた方なので、まさか、こういう形で共演できるなんて……もうびっくりですよ! 楽屋の席も近かったんですけど、もう緊張しちゃって、私から話しかけることなんてできません! そうしたら多田さんのほうから優しく話しかけてくださって。なんかもう信じられないですよね? それからは舞台のことはもちろん、アイドルとしてやっていくにあたって、どうしていけばいいかという話まで、たくさん聞かせていただきました。本当に貴重な体験です!」
そう興奮気味に語る鈴木萌花。外に一歩踏み出して、いつもとは違う人たちと仕事をすることは大きな刺激になったようだ。
5日間全8公演を無事に乗り切った愛来と鈴木萌花。彼女たちの胸には大きな自信と、さらなる欲が芽生えていた。
「また機会があったら、舞台、やってみたいですね。今回も“音楽劇”という形式だったんですけど、やっぱり歌うのが好きなので、今度はもっと歌が多い舞台にも挑戦してみたいですね。あっ、アメフラっシのライブでも音楽劇みたいなスタイルを取り入れたら面白いかも! 曲のタイトルや歌詞の内容につながるお芝居がちょっとあって、そこから曲につながっていく、みたいな。そういう形で今回の経験をアメフラっシに活かしていければいいなって思います」(鈴木萌花)
本来であれば、4月10日と5月17日に予定されていた単独ライブで、その片鱗を垣間見ることができたのかもしれないが……しかし、アメフラっシはけっして立ち止まっているわけではない。そのあたりは来週からスタートするソロインタビュー・鈴木萌花編で明らかになっていくが、インタビューはまさかの衝撃告白から幕を開けることになる――。
【連載14回目の追記】
この連載がアップされるのは非常事態宣言の真っただ中。しかも5月7日以降の見通しも今のところははっきりしていない。それでもアメフラっシの成長は止まらない。それでは今、彼女たちは何を考え、何をしているのか。次回からはその知られざる姿に迫っていきたい。