ゴルゴンゾーラ

くさい度数★★★★

ゴルゴンゾーラは、イタリア産のブルーチーズで、スティルトンと同様に牛乳を発酵させたあと、青カビ(ペニシリウム・ロックフォルティ)を加え、それを熟成させてつくられる。

ゴルゴンゾーラ イメージ:PIXTA

ゴルゴンゾーラという名は、1000年ほど前、牛追い人が夏のアルプスで放牧していた牛の群れを移動させる途中で、イタリア北部のゴルゴンゾーラ村に立ち寄った際、その牛の乳でつくったチーズがやわらかくておいしいと村で評判になったことに由来するといわれている。現在このチーズは、イタリアの原産地名称保護制度(DOP)に則って、法律的に生産地が限定されている。

ブルーチーズの中では、ゴルゴンゾーラは青カビの風味がわりとマイルドで食べやすい。とくに「ドルチェ(甘い)」と呼ばれるタイプのゴルゴンゾーラは、青カビや塩分が少なくてほのかな甘味をもち、しっとりとクリーミーなので、青カビタイプのチーズを初めて食べる人にはおすすめだ。

香辛料としても使われるピッカンテ・ゴルゴンゾーラ イメージ:PIXTA

一方、「ピッカンテ(辛い)」と呼ばれるタイプのゴルゴンゾーラは、青カビがびっしりと入っているため、青カビ臭が強く、口に入れると舌を刺すようなカビの刺激を感じる。辛味が強いことから、パスタやリゾット、ピザといった料理に香辛料として使われることが多いが、その青カビの風味と辛味にとらわれて、やみつきになる人も少なくない。

自らを“発酵仮面”と称し、世界中のチーズを食べつくしてきた小泉教授に、それぞれの「くささ」の度合いについて星の数で五段階評価してもらった。 発酵食品は宿命的に、くさいにおいを宿しているが、それこそが最大の個性であり魅力なのだ。

「くさい度数」について
★あまりくさくない。むしろ、かぐわしさが食欲をそそる。
★★くさい。濃厚で芳醇なにおい。
★★★強いくさみで、食欲増進か食欲減退か、人によって分かれる。
★★★★のけぞるほどくさい。咳き込み、涙する。
★★★★★失神するほどくさい。ときには命の危険も。

※本記事は、小泉武夫:著『くさい食べもの大全』(東京堂出版:刊)より、一部を抜粋編集したものです。