「自粛警察」というワードがコロナ禍に多く聞かれました。私たちの社会は、ルールによって守られていることは間違いありませんが、それに縛られ過ぎても窮屈になってしまいます。精神科医として活躍している藤野智哉医師に、ストレスから自分を守るコツを紹介してもらいました。
※本記事は、藤野智哉:著『コロナうつはぷかぷか思考でゆるゆる鎮める』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
自分のルールを相手に押し付ける人がいる
「コロナうつ=うつ病ではありません」。
心が極度に疲れている症状ともいえるかもしれませんが、長引くことで症状が悪化する可能性があります。そのためにも、今からコロナうつと向き合う必要があります。
うつ病ではないからこそ、薬ではなく考え方などを変えていくことで、いい方向に向かっていくはずです。コロナで疲れたあなたに、ちょっと気持ちが楽になるいくつかのコツをご紹介しましょう。
社会生活にルールを持ち込むことで、私たち人間は文明的な生活を営むようになりました。ルールを作り、それを守ることで危険を回避し、不快な思いをすることなく生きていくことができるからです。
私たちがルールによって守られていることは、間違いありません。
法律などの強制力の高いルールと同時に、生活マナーなどの規範も存在します。私たちは意識的に、さらに無意識にそれらの規範を守って暮らしています。ゴミ出しの日を守る、顔を合わせたらあいさつをする、などもそれに該当するのでしょうか。
マナーを守らないからといって、社会的に断罪されることはありませんが、コミュニティーで厄介者扱いされることはあるでしょう。社会生活を営む以上、近隣コミュニティーと上手にやっていくことが、ある程度は求められます。
しかしコロナの影響で感じたのは「同調圧力」が、かつてないほど高まったことです。
自粛要請が出ている中で、営業している飲食店にクレームの張り紙をする人もいました。あくまで自粛要請であり、20時までという営業時間を守っても、他の店は休んでいるのに、なんでやっているんだという不満を抱く人がいるのです。
自分がつらい思いをしているときに、他人にも同じ思いを味わわせたいと感じる人が多いことにびっくりします。
そして密告をする人たち。張り紙を貼って回ったり、お釣りの渡し方が不衛生だと店員に対して、罵詈雑言を投げかける人もいました。
そんな世の中に、息苦しさを感じた方も多いのではないでしょうか。