いきすぎた怒りが自粛警察へと駆り立てる

人間は誰しも自分なりのルールを持っているものです。ただし、自分のルールを相手が守らないからといって、相手を糾弾してよいことにはなりません。

自粛期間中は「自粛警察」という言葉が独り歩きしました。自粛警察とは、行政の休業要請対象外の店への抗議や嫌がらせをする人たちを指す言葉で、SNSなどで話題となりました。

▲いきすぎた怒りが自粛警察へと駆り立てる イメージ:PIXTA

たとえば新型コロナウイルスの感染が拡大する中、休業要請の対象外の店に対して「他の店は休んでいるのになぜ営業しているのか」などと抗議をするのです。さらにルールの範囲内であっても、外出をしている人を見かけると、警察に通報する人まで現れました。

同調圧力とは、少数に対してネガティブ・キャンペーンを行って、少数意見者がおかしいとの印象操作をすることです。

他人のルール違反が許せないという気持ちは誰にでもあるものです。

そもそも人は、なぜルールを守るのでしょう。それはこれまでの人生経験が、あなたにそう判断を与えているからに違いありません。

たとえば「信号を守ったら褒められた」という小さい頃の記憶から始まり「交通標識に従ったおかげで危ない目に合わずに済んだ」「前の車はスピードを出し過ぎて捕まったが、自分は制限速度を遵守したため違反切符を切られなかった」など具体的な利益に至るまで、ルールを守ることでさまざまなメリットを享受していたからです。

それゆえ、ルールを守ることに固執する人が現れるのです。

同時にルールを守らない人を非難することが始まります。ルールを守らない人を責めるのは、ルールを守っている人です。

ルールを守らない他人に対して怒りが湧き、それにより自分の心の穏やかさを損なってしまうのです。そして自粛警察にいきつくのでしょう。