ルールを守ることに“依存”してはいけない
他人のルール違反に目くじらを立てているとどうなるか。
やがてその矛先は、自分に向くことでしょう。きっちりとルールを守るという行為=自分の存在価値になり、価値ある人間として居続けるために、ルールを守り続けることが、生きる意味へと変説していくからです。
ルールを守ることは、社会的承認欲求を満たすことにもつながります。
「あの人はゴミ出しのルールもきちんと守るし、顔を合わせたらあいさつをしてくれる立派な人」そう思われることが、自分の満足につながるのです。だからこそ、自分に自信がない人ほど、ルールを守ろうとする傾向が強いように感じます。
自分の中に軸となる確かな価値観がないため、ルールを守ることに意義を見出してしまう。さらに言えば、生きる意味さえ見ている人がいるように思います。
自分に自信がないなんて当たり前なんです。だからといって、何かに依存することをやめましょう。まずは人に対して寛容な気持ちを持つこと。そのためには自分自身をほどよく甘やかせてあげましょう。
人に対して厳しいと、自分に対してもプレッシャーがかかる。他人のことを、まずは気にしないことから始めましょう。
ルールを守る人ほど、キチキチとした目標を立てて、それを守ることに固執したりします。だったらこれまでのルールを逸脱してもいいじゃないですか。
昔から「終わりよければ全てよし」といいますが、本当にその通りだと思います。
仕事の日は飲まないなど、きちんとコントロールできていれば、休日くらい昼からビールを飲んだっていいと思うのです。軽く昼寝をした後に、運動をすればいいし、午後からだって有意義な1日を過ごせるはずです。
「なんとかなる!」でストレスに対応する
イスラエルの健康社会学者であるアーロン・アントノフスキーによって提唱された「首尾一貫感覚(SOC=sense of coherence)」とは、ストレスに柔軟に対応できる能力を指します。
SOCは3つの感覚が揃うことで成り立ちます。
- 自分の置かれている状況を予測・理解できる=「把握可能感」(comprehensibility)
- なんとかやっていけるという=「処理可能感」(manageability)
- 日々の営みにやりがいや生きがいが感じられる=「有意味感」(meaningfulness)
首尾一貫感覚を構成する3つの感覚は、お互いを補完し合うようにつながっています。最初のふたつの能力があれば日々のストレスを乗り切れます。
「まぁなんとかなるだろう」と自信を持って、前向きに状況に取り組んでいける性格傾向のことですね。SOCが強い人はストレス耐性があり、健康が維持されやすいんです。
大事なのはルールにこだわり過ぎないこと。他者のマナー違反が脅かすのは社会の平和でなく、自分の心の平和なのです。