種目数が増え続ける現代オリンピック

2020年に東京で開催される予定だった夏季オリンピックでは、33競技339種目が実施されることになっていた。このうち定例化されている「非追加種目」が28競技で、開催地の組織委員会提案の追加種目が5競技という数え方になっている。1964年の第18回東京大会では163種目であった。ただし競技の統合や分割があるので計算は複雑だ。

第1回のアテネ大会では、陸上競技、競泳、体操(ウエイトリフティングを含む)、レスリング、フェンシング、射撃、自転車、テニスが実施競技だった。

▲フェンシング イメージ:PIXTA

1964年の東京オリンピックのときは20競技が開催された。陸上競技、ボート(漕艇)、バスケットボール、ボクシング、カヌー、自転車、フェンシング、サッカー、体操、ウエイトリフティング、ホッケー、レスリング、水泳、近代五種、馬術、射撃、水球、セーリング(ヨット)に、新しくバレーボールと柔道が加えられた。

これを1936年のベルリン大会と比較すると、ベルリンで実施されて東京で実施されなかったのが、ハンドボールとポロと芸術競技(スポーツに関する芸術)であり、ベルリンでは競泳と飛び込みが別の競技としてカウントされていたので22競技だった。

2020年の東京オリンピックでは、これにアーチェリー、バドミントン、野球・ソフトボール、ゴルフ、ハンドボール、空手、ローラースポーツ、7人制ラグビー、スポーツクライミング、サーフィン、トライアスロン、卓球、テコンドーが加わる。

▲サーフィン イメージ:PIXTA

このうち、野球・ソフトボール、空手、スポーツクライミング、ローラースポーツ、サーフィンが「追加種目」として扱われている。

各競技のなかでトランポリン、新体操、アーティスティックスイミングなどが入っているし、水球は独立競技でなく水泳のなかに組み込まれた。

また競技のなかの種目数も激増している。たとえば陸上競技は、1896年アテネで12、1936年ベルリンで29、1964年東京で36、2020年東京で48種目と変化しているが、競泳についてみると、1896年アテネで4、1936年ベルリンで11、1964年東京で18だが、2020年の東京大会では37種目とインフレ気味だ。

アメリカの水泳選手フェルプスが、1大会で8個の金メダルを取ったこともあり、明らかに過剰でバランスを失しているのではないだろうか。

※本記事は、八幡和郎:著『365日でわかる世界史』(清談社Publico:刊)より一部を抜粋編集したものです。