メディアの奥深くまで入り込んでいる中国共産党勢力

マスコミのなかにいる人が、意識的にせよ無意識的にせよ、自分たちが持っているマスコミュニケーションの力を、プロパガンダに利用したり、そのまま外部の勢力に供給したりしているケースが少なくないことを、私たちは警戒すべきです。

なくともマスコミかられてくる情報、絶対鵜呑みにしてはならないでしょう。米中対立を伝える際、PRC〔People's Republic of China =中華人民共和国〕が言うことを代弁したり、日韓の対立において韓国を擁護したりするような人には、警戒心を抱かなければなりません。私は陰謀論を好みませんが、つねにこうしたリスクを意識しておくことは大切です。

▲米中対立のニュースから見えてくることがあるはずだ イメージ:PIXTA

言い方を変えましょう。陰謀論などに頼らなくとも、プロパガンダはこれまでも、今この瞬間も、私たちの周辺に当たり前に存在しているわけです。プロパガンダとは、特定の思想によって個人や集団に影響を与え、その行動を意図した方向に仕向けようとする宣伝活動の総称です。

モノやサービスの営業活動や宣伝活動も一種のプロパガンダです。セールストークやテレビショッピングを思い出していただければ理解できるでしょう。政治的な意図を持つ人も、セールスや通信販売への誘導と同じように、宣伝活動をしていることが多いわけです。

つまり、モノやサービスには本当にいいものがあるように、政治的な意図にも「いいもの」があっておかしくありません。いいものやサービスを教えてくれた宣伝(=プロパガンダ)を、プロパガンダだと毛嫌いする人はいません。それとまったく同じ構造なのが、旧東側諸国に対して行われていた西側のプロパガンダです。

アメリカや西欧各国は民主主義や自由主義こそが、理想的で豊かに暮らせる政治的手段であり、政治体制であると当時、短波放送を使って宣伝しました。「ラジオ・フリー・ヨーロッパ」がとくに有名です。

これは東側から見ればどう考えても「悪いプロパガンダ」です。しかし当時、東側諸国で欠陥と矛盾に満ちた共産主義政権のもと、圧政と貧困に耐えていた人たちは、隠れて必死にラジオの内容を聞き取り、やがて民主化を達成し、ベルリンの壁をたたき壊したわけです。

あれから30年、中国共産党が行っているプロパガンダも本質的には同じことです。国内の記者にいわゆる『習近平思想』〔習近平による新時代のPRCの特色ある社会主義思想〕を徹底させ、中国共産党の立場だけを伝えさせ、外国から入ってくる中国共産党に不利な情報は遮断します。インターネットにも強く規制をかけています。なぜなら、彼らは東欧革命やソ連崩壊の一部始終をよく研究しているからです。

むしろ、中国共産党がかかった勢力が、日本のメディアに浸透していることを警戒すべきでしょう。ただでさえ日本人は性善説の傾向が強いわけです。たやすくプロパガンダに操られている日本人の姿には困ったものです。